請求書再発行の手順と注意点|発行側・受領側の対応とインボイス制度の影響

作成者: 株式会社ユニリタプラス|Nov 28, 2025 8:19:35 AM

「取引先から請求書を再発行してほしいと頼まれた」「請求書を紛失してしまった」など、請求書の再発行で困っていませんか?

請求書の再発行は、二重計上のリスクや管理の手間が伴うため、発行側・受領側ともに慎重な対応が必要です。

特に2023年10月から始まったインボイス制度下では、適格請求書(インボイス)の修正・再発行に新たなルールが加わりました。

この記事では、請求書再発行が必要になる理由から、発行側・受領側それぞれの具体的な手順、二重計上を防ぐための注意点、インボイス制度における修正インボイスの扱いまで、詳しく解説します。

目次

 

請求書の再発行とは

再発行の定義:一度発行した請求書を、紛失や記載ミスなどの理由で再度発行すること

修正・差額請求との違い:再発行は元の代替、修正は誤りの訂正、差額請求は内容変更による追加・減額を指す

法的義務:再発行に応じる法的な義務はないが、商慣習上応じるのが一般的

請求書再発行の定義

請求書の再発行とは、一度発行が完了した請求書を、何らかの理由により無効化し、新しく発行し直すことを指します。

理由としては、受領側の紛失や、発行側の記載ミスなど、さまざまなケースが考えられます。

再発行と修正・差額請求の違い

これらは混同されがちですが、目的が異なります。

  • 再発行: 主に元の請求書が紛失・破損した場合に、元と「同じ内容」のものを再度提供する行為です。(記載ミス修正のために再発行することもあります)
  • 修正: 金額や宛名など、元の請求書の内容自体に誤りがあった場合に、正しい内容に直す行為です。
  • 差額請求: 取引内容の変更(例:追加発注、一部キャンセル)により、請求金額に増減が生じた際に、その差額分だけを別途請求または返金処理することです。

再発行に応じる法的な義務の有無

請求書の発行側(受注側)には、請求書を再発行する法的な義務はありません

しかし、取引先との良好な関係を維持するため、商慣習として再発行の依頼に応じるのが一般的です。

ただし、再発行には二重計上のリスクや管理コストが伴うため、社内ルールを明確にしておくことが重要です。

 

請求書の再発行が必要になる主な理由

受領側による紛失・破損

記載内容の誤り(金額、品目、宛名など)

請求内容の変更(取引条件の変更)

受領側による紛失・破損

最も多い理由の一つが、受領側(発注側)による請求書の紛失です。

「メールで受け取ったPDFを削除してしまった」「紙で受け取ったが見当たらない」といったケースが該当します。

また、データの破損などでファイルが開けない場合も再発行が依頼されます。

記載内容の誤り(金額、品目、宛名など)

発行側(受注側)のミスにより、請求書の内容に誤りがあった場合です。

金額の間違いは当然ながら、宛名(会社名や部署名)、品目、数量、請求日、支払期限などの誤りも、受領側の経理処理や仕入税額控除に影響するため、修正・再発行の対象となります。

請求内容の変更(取引条件の変更)

請求書を発行した「後」に、取引内容や条件が変更になった場合も再発行が必要になることがあります。

例えば、発注数量の変更や一部キャンセル、割引の適用漏れなどが判明した場合、元の請求書を取り下げ、新しい内容で再発行します。

 

請求書を再発行する際の手順(発行側)

ステップ1:再発行の依頼内容の確認

ステップ2:元の請求書の破棄または無効化の依頼

ステップ3:新しい請求書の作成と「再発行」の明記

ステップ4:再発行した請求書の送付と管理

ステップ1:再発行の依頼内容の確認

まず、受領側から「なぜ」再発行が必要なのか、その理由を明確に確認します。

単なる紛失なのか、記載内容に誤りがあったのかによって、対応が異なるためです。

記載ミスの場合は、どの箇所の修正が必要か具体的にヒアリングします。

ステップ2:元の請求書の破棄または無効化の依頼

二重計上(二重支払い)のリスクを避けるため、これが最も重要な手順です。

受領側に、手元にある元の請求書(紙またはデータ)を確実に破棄してもらうよう依頼します。

発行側も、自社の会計システム上で元の請求データを無効化(またはマイナス処理)する対応を行います。

ステップ3:新しい請求書の作成と「再発行」の明記

依頼内容に基づき、新しい請求書を作成します。

この際、元の請求書と区別できるように、「再発行」のスタンプを押したり、備考欄に「再発行分」と明記したりすることが不可欠です。

請求書番号は、元の番号をそのまま使うか、「(元の番号)-R」のように枝番を付けるのが一般的です。

ステップ4:再発行した請求書の送付と管理

作成した再発行請求書を、受領側に送付します。

送付状やメール本文にも、「(請求書番号)の再発行分です。元の請求書は破棄願います」といった一文を添えると丁寧です。

発行側は、再発行した控えを適切に保管し、経緯(いつ、誰の依頼で、何を修正したか)を記録に残しておきます。

 

請求書の再発行を依頼する方法(受領側)

依頼前に確認すべき事項

発行側への具体的な依頼方法(メール文例)

再発行された請求書の受領後の処理

依頼前に確認すべき事項

発行側に連絡する前に、まずは自社内での確認を徹底します。

紛失したと思った場合でも、一度落ち着いて確認します。別の担当者が受領していないかも確認しましょう。

記載ミスの場合は、どの項目がどのように間違っているのか、正確に把握します。

発行側への具体的な依頼方法(メール文例)

再発行は発行側にとって追加の業務負担となるため、丁寧な依頼を心がけます。

電話またはメールで、以下の情報を明確に伝えます。

  • 謝罪(受領側都合の場合)または指摘(発行側ミスの場合)
  • 対象の請求書(請求書番号、発行日、金額など)
  • 再発行の理由(例:紛失のため、宛名間違いのため)

件名:請求書再発行のお願い(No. [請求書番号])

株式会社〇〇
経理ご担当者様

お世話になっております。
株式会社△△の[あなたの氏名]です。

大変恐縮なのですが、[日付]付で発行いただきました請求書(No. [請求書番号])を、当方の不手際により紛失してしまいました。

誠に申し訳ございませんが、こちらの請求書を再発行いただくことは可能でしょうか。

(※記載ミスの場合)
大変恐縮ですが、宛名が「〇〇部」となっておりますところ、正しくは「△△部」となります。お手数ですが、修正の上、再発行をお願いできますでしょうか。

ご多忙のところ大変恐れ入りますが、ご対応いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

(署名)

再発行された請求書の受領後の処理

再発行された請求書を受け取ったら、まず内容(再発行である旨の記載、修正箇所など)を確認します。

もし元の請求書が後から見つかった場合は、重複して処理しないよう、元の請求書は必ず破棄してください。

再発行された請求書に基づき、経理処理を進めます。

 

請求書再発行時の注意点

二重計上のリスク回避

請求書番号の適切な管理

再発行日と元の請求日の扱い

二重計上のリスク回避

再発行における最大の注意点です。

発行側は「元の請求データの無効化」、受領側は「元の請求書の破棄」を徹底し、新旧両方の請求書で処理が行われないよう、双方で管理する必要があります。

請求書番号の適切な管理

再発行する請求書の番号は、原則として元の請求書番号と同じ番号を使用します。

これにより、どの取引に対する請求書であるかが明確になります。

ただし、システム上、同一番号の発行が難しい場合は、「(元の番号)-R」や「(元の番号)-2」のように枝番を付けて管理する方法もあります。

再発行日と元の請求日の扱い

請求書に記載する「発行日(請求日)」は、元の請求書に記載されていた日付をそのまま使用するのが基本です。

支払条件(例:月末締め翌月末払い)は、この「元の請求日」を基準に計算されるためです。

「再発行日」として、再発行した日付を別途備考欄などに記載し、いつ再発行されたものかを明確に区別できるようにします。

 

インボイス制度における請求書再発行の扱い

適格請求書(インボイス)の修正方法:誤りがあった場合、修正インボイスの交付が必要

修正インボイスの交付義務:発行事業者には、誤ったインボイスを交付した場合、修正する義務がある

必須記載事項の確認:修正した箇所の明記と、元のインボイスとの関連性を示す

適格請求書(インボイス)の修正方法

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の下では、適格請求書の記載事項に誤りがあった場合、発行事業者は「修正インボイス(修正した適格請求書)」を交付する必要があります。

受領側は、この修正インボイスを保存することで、仕入税額控除を受けることができます。

修正インボイスの交付義務

インボイス制度では、通常の再発行(義務なし)とは異なり、交付した適格請求書に誤りがあった場合、発行事業者には修正インボイスを交付する義務が課されています。

受領側から記載ミスを指摘された場合は、速やかに対応しなければなりません。

ただし、受領側による「紛失」の場合は、再発行の義務はありません(商慣習上の対応となります)。

再発行時の必須記載事項の確認

修正インボイスの交付方法は、2パターンあります。

  • パターン1: 誤りがあった箇所を修正し、全ての記載事項を改めて記載したインボイスを再交付する。
  • パターン2: 元のインボイスとの関連性を明らかにし、修正した事項(例:税率ごとの差額)を明記した書類(修正インボイス)を交付する。

どちらの場合も、インボイスとしての必須記載事項(登録番号、税率ごとの消費税額など)を満たしている必要があります。

 

請求書再発行に関するよくある質問

再発行費用

再発行の拒否

電子請求書の場合

再発行に費用はかかるか

再発行に関する費用の取り決めに、法的な定めはありません。

発行側のミスであれば当然無料ですが、受領側の都合(紛失など)による再発行の場合、発行側が「再発行手数料」として実費(郵送費や事務手数料)を請求することもあります。

ただし、一般的には取引関係を考慮し、無料で行われるケースがほとんどです。

再発行を拒否された場合の対処法

前述の通り、発行側に再発行の法的義務はありません(インボイスの記載ミス修正を除く)。

万が一、紛失などを理由とする再発行を拒否された場合、受領側としては、銀行の振込明細書や、発行側が発行する「支払証明書」などで、経理処理や税務申告の証憑として代替できるか、顧問税理士などに相談する必要があります。

電子請求書の場合の再発行方法

電子請求書(PDFのメール送付や請求書発行システム)の場合、再発行のプロセスは紙よりも容易です。

単なる紛失であれば、PDFデータを再送付するだけで済む場合が多いです。

記載ミスの場合は、システム上でデータを修正し、修正版のPDFを再発行・再送付します。

ただし、手続きが簡単な分、二重計上のリスク管理は紙と同様に重要です。必ず元のデータを無効化する処理を行ってください。

 

まとめ

請求書の再発行は、日常業務で起こり得るトラブルの一つですが、発行側・受領側の双方が手順と注意点を守ることで、スムーズかつ安全に対処できます。

最後に、本記事の要点をまとめます。

  • 請求書再発行に法的義務はないが、商慣習として応じるのが一般的。
  • 再発行の最大の注意点は、二重計上(二重支払い)の防止
  • 発行側は「元のデータの無効化」と「再発行の明記」、受領側は「元の請求書の破棄」を徹底する。
  • 請求日は元の請求日を維持し、請求書番号も元と同じ(または枝番)にする。
  • インボイス制度下では、記載ミスがあった場合、発行事業者に修正インボイスの交付義務がある。

請求書の再発行は、信頼関係にも関わる重要な業務です。万が一の際に慌てないよう、自社の対応ルールを今一度確認しておきましょう。