PDFのOCR化で業務効率を上げる方法と認識精度向上のコツ(実践ガイド)

作成者: 株式会社ユニリタプラス|Jan 9, 2026 2:14:41 AM

紙の書類をデジタル化して検索・再利用可能にするOCR(光学文字認識)は、正しく運用すれば業務効率を大きく改善します。

本ガイドは実務で失敗しにくい具体的な設定、プリプロセス(画像補正)、出力の使い分け、セキュリティ面の注意点と確認チェックリストを含みます。

OCR処理とは(簡単な定義)

定義画像(スキャンされた文書や写真)に含まれる文字の形状を解析して、コンピュータが扱えるテキストデータ(文字コード)へ変換する技術です。

結果検索可能なPDF(透明テキストを埋め込む方式)や、編集可能なWord/テキスト出力など、用途に応じた形で出力できます。

OCR化のメリット(業務上の利点)

  • 全文検索で目的文書を高速に特定:ファイル名に頼らず、文書内の語句で検索できます。
  • データ入力の半自動化:請求書や名刺などの項目をOCRで抽出し、手入力工数を削減できます。ただし抽出精度は必ず目視で確認してください。
  • 過去資料の再利用が容易に:引用や転記が簡単になり資料作成が効率化します。

主要な処理手段と選び方

PCソフト(ローカル処理)

クラウド/オンラインサービス

複合機・スキャナーの自動OCR機能

PCソフト(ローカル処理)

Adobe Acrobat Proなどは高機能で、バッチ処理や細かいオプション(言語指定、レイアウト保持、画像補正など)が使えます。

機密文書は原則ローカルで処理することを推奨します。

クラウド/オンラインサービス

Google ドライブのOCR機能や各種オンラインOCRは手軽に使えます。

少量・非機密の文書の変換や、インストール不要の場面に便利ですが、アップロード先のデータ利用・保持ポリシーを必ず確認してください。

複合機・スキャナーの自動OCR機能

業務フロー上で継続的にデジタル化する場合、複合機でスキャン→その場でOCR→指定フォルダへ保存、という運用が効率的です。

必ず運用ルールと品質チェックの工程を設けましょう。

 

認識精度を上げるスキャン設定(実践)

推奨解像度(DPI)と選び方(条件付き)

カラーモードの選択

言語設定(OCRソフトの重要オプション)

原稿のセット(物理的な注意)

推奨解像度(DPI)と選び方(条件付き)

  • 一般的な印刷文書:原則 300 dpi を推奨。多くのOCRエンジンで十分な精度が得られます。
  • 文字が小さい/退色・劣化がある/特殊フォント: 400〜600 dpi を推奨。高解像度はファイルサイズを大きくするため、用途に応じて使い分けます。
  • 名刺やラベル等の小領域:原稿の物理サイズにより解像度を上げる(名刺は300–400 dpiが目安)。

カラーモードの選択

  • 白黒(2値): テキストのみ、背景が単純な場合に最小容量で良好。ただし薄い文字やグレーのインクは消えることがある。
  • グレースケール: 多くの文書でバランスが良い(300dpi で十分)。薄い文字や濃淡がある原稿に適する。
  • カラー: カラーヘッダや色付き印刷物、写真付きの名刺などはカラーでスキャンしてからOCR処理する方が精度が出る場合がある。

言語設定(OCRソフトの重要オプション)

OCRの設定で認識対象言語を正しく指定すると誤認識が大きく減ります。

日本語/英語/中国語など混在する文書は、可能なら個別に分けて処理するか、対応言語を明示的に指定してください。

原稿のセット(物理的な注意)

  • ページが傾かないようにガイドに合わせる(deskew が必要な場合は後処理で補正)。
  • 薄い紙は裏写りがないか確認。必要なら黒い紙を敷くなどの工夫をする。

スキャン後の画像補正(実務テクニック)

スキャンしただけでOCRをかけると誤認識率が上がることがあります。以下のプリプロセスを推奨します。

処理 目的/効果
傾き補正(deskew) 行判定の誤りを減らす。OCR が行判定で失敗する主要因を軽減。
ノイズ除去(デノイズ) 汚れやスキャンノイズによる誤認識を減らす。
コントラスト調整(しきい値調整) 薄い文字をはっきりさせる。2値化のしきい値を最適化すると誤認識が減る。
背景除去(バックグラウンドリムーブ) 用紙の黄ばみやグラデーションによる誤認識を抑制する。

多くのOCRソフトはこれらの前処理を内包していますが、別ツールで事前に補正してからOCRにかけると精度が改善する場合があります。

出力形式と使い分け

代表的な出力形式と推奨用途は以下の通りです。

  • 検索可能PDF(searchable PDF): 見た目はそのままに全文検索を実現。レイアウト保持が必要で、編集は最小限で良い場合に最適。
  • 編集用(Word, Excel): 文章を編集や再構成したい場合に利用。ただし複雑な表組みや段組は手直しが必要なことが多い。
  • プレーンテキスト(.txt / JSON出力): テキスト抽出して自動処理(データ抽出パイプライン)に渡す用途に有効。
ヒント:表や複雑なレイアウトは「検索可能PDFでまず保存」→編集が必要ならWordへ変換して手作業で調整、という二段階運用が実務上は失敗が少ないです。

機密文書の扱い・オンラインサービスの注意

オンラインOCRを利用する際は以下を確認してください。

  • アップロードされたファイルの保存期間、第三者提供の有無。
  • 暗号化(転送時、保存時)の有無。
  • プライバシーポリシーおよび利用規約で処理目的が明示されているか。

機密性の高い文書(個人情報、契約書、財務データ等)は、原則として社内環境でローカル処理するか、厳格に管理されたオンプレミス/専用クラウドを利用してください。

実行前後のチェックリスト(コピペ可)

スキャン前(原稿準備)

  • 原稿の傾き・汚れを確認した(必要なら拭く、裏に黒紙を敷く等)。
  • 言語が混在しているか分ける・判定した。
  • 重要文書はローカル処理の方針を確認した(オンラインNG)。

スキャン設定

  • DPI を目的に合わせて設定した(例:通常300dpi、条件次第で400–600dpi)。
  • カラーモードを選択(白黒/グレースケール/カラー)。

OCR処理・出力選択

  • OCRソフトの言語設定を適切に指定した。
  • 出力形式(検索可能PDF/Word/テキスト)を用途に合わせて選んだ。

処理後の確認

  • 重要箇所(契約番号、日付、金額、氏名など)を目視で確認した。
  • 誤認識(1とl、0とO、数字の抜け)をチェックし、必要なら修正した。
  • 表組や段組の崩れがないかを確認した(編集が必要な場合は手直し)。

まとめ

OCRは業務効率化に強力に寄与しますが、以下の5点を適切に運用することが成功のカギです。

  • スキャン品質
  • 言語設定
  • 画像補正
  • 出力形式の使い分け
  • 機密性の扱い

まずはトライアルとして少量の文書を対象に運用フロー(スキャン設定→前処理→OCR→確認)を検証し、運用ルールとチェックリストを固定化することをおすすめします。