承認ワークフロー入門:申請から決裁までの業務効率化

作成者: 株式会社ユニリタプラス|Jul 24, 2025 1:55:31 AM

はじめに:その申請、どこで止まっていますか?

「提出した申請書が、今どこで誰の承認を待っているのか分からない」「急ぎの決裁なのに、担当者が出張でハンコがもらえない」といった経験はありませんか?本記事では、こうした課題を解決する承認ワークフローの基本を解説します。この仕組みを理解し、業務を電子化することで、申請から決裁までの流れをスムーズにし、組織全体の業務効率化を目指しましょう。

 

 

目次

1. 承認ワークフローとは?

承認ワークフローとは、業務における一連の「申請→確認→承認→決裁」という手続きの流れを、あらかじめ定められたルールに沿って自動的に処理する仕組みのことです。従来は紙の書類で行われていたプロセスを電子化し、システム上で完結させることを指します。この仕組みの導入は、意思決定の迅速化や業務プロセスの可視化に不可欠であり、脱ハンコやペーパーレス化を推進する上で中心的な役割を果たします。誰が、いつ、何を承認したのか記録が残るため、内部統制の強化にも繋がります。

 

2. ワークフローを構成する主要な要素

効果的な承認ワークフローは、主に以下の要素で構成されています。

  • 申請フォーム: 申請者が内容を記入するための電子的な書式です。入力項目を定型化することで、記入漏れやミスを防ぎます。
  • 承認ルート: 提出された申請が、どの部署の、どの役職の人物によって、どのような順番で承認されるかを定義した経路です。条件分岐も設定できます。
  • 通知機能: 申請の提出、承認依頼、差戻し、決裁完了といった各段階で、関係者にメールやチャットで自動的に通知を送る機能です。
  • ステータス管理: 申請が今どの段階にあるか(「申請中」「承認待ち」「完了」など)を一覧で確認できる機能です。進捗の透明性を高めます。

3. 活用のシナリオ例

承認ワークフローは、さまざまな業務に応用できます。

経費精算プロセスの迅速化

外出先からでもスマートフォンで経費申請ができ、上長も移動中に内容を確認・承認できます。紙の伝票や領収書の提出が不要になり、月初の煩雑な精算業務から解放されます。

稟議申請の透明性向上

設備投資や新規契約といった重要な意思決定(稟議)のプロセスを電子化します。誰の承認で止まっているかが一目で分かり、承認の履歴も自動で記録されるため、後からの確認も容易です。

各種届け出業務の効率化

休暇取得や在宅勤務の申請、備品購入依頼など、日常的に発生する細かな申請業務をシステム化。申請者はフォーマットに沿って入力するだけで済み、承認者の負担も軽減されます。

 

4. メリットとデメリット

ワークフローシステムの導入には、良い点と注意すべき点の両方があります。

メリット デメリット
意思決定のスピードアップ システムの導入・運用コストが発生する
業務プロセスの可視化と標準化 既存の業務フローの見直しが必要になる場合がある
ペーパーレス化によるコスト削減 従業員が新しいシステムに慣れるまで時間が必要
内部統制の強化とコンプライアンス遵守 複雑な承認ルートの構築には専門知識が求められる

 

5. 関連用語の解説

決裁(けっさい)
申請された事柄について、権限を持つ者が最終的な許可を与えること。
稟議(りんぎ)
担当者が作成した起案文書を、関係者に回覧して承認を求める手続き、またはその文書自体を指します。
差戻し(さしもどし)
申請内容に不備や確認事項がある場合に、承認者が申請者へ書類を戻すこと。ワークフローシステムでは、理由をコメントしてボタン一つで行えます。

 

6. まとめ

承認ワークフローは、単なる「脱ハンコ」ツールではありません。申請から決裁に至る業務プロセス全体を見直し、組織の生産性を向上させるための強力な手段です。本記事でご紹介したポイントは以下の通りです。

  • 承認ワークフローは、申請から決裁までの流れをルール化・自動化する仕組みである。
  • 導入により、意思決定の迅速化や業務の可視化といった多くのメリットが期待できる。
  • 一方で、コストや運用面の課題も考慮し、自社の目的に合った活用を検討することが成功の鍵となる。

まずは身近な申請業務から電子化を検討し、業務効率化の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。