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ダイハツ工業株式会社

1907年に創業したダイハツ工業は、軽・小型自動車の開発・生産・販売を担う自動車メーカーです。創業以来、「世界中の人々に愛されるコンパクトカーづくり」を使命と考え、「良品廉価」「最小単位を極める」「先進技術をみんなのものに」という基本思想のもと、お客様の生活に寄り添ったクルマづくりに取り組んできました。2021年11月には、エンジンで発電し、その電力を使用してモーターで走行する「e-SMARTHYBRID」を搭載したコンパクトSUV「ロッキー」を発売するなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けたクルマづくりにも力を入れています。(山本氏)

脱ホストコンピュータの実現を目指しており、その受け皿として新たな帳票基盤システムを構築する必要があったダイハツ工業。ユニリタプラスが提案した「BSP-RM」「Report&FormWarehouse」「FileVolante」の3つの製品を組み合わせて新帳票基盤システムを構築しました。その結果、運用や業務内容がシンプルになり、ペーパーレス化が加速するなど多くのメリットが生まれています。(山本氏)

 

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課題

・帳票出力形態により、変換プログラムと帳票レイアウト・フォーム定義(以下「帳票フォーム」)資産がバラバラに管理されていたため、帳票変更などの際には業務プログラムからの改修が必要で時間がかかっていた

・帳票フォームはコーディングによって作成していたため、担当者の経験値やスキルによって品質や作成時間にばらつきがあった

解決策

・「BSP-RM」「Report&FormWarehouse」「FileVolante」の3つのシステムを組み合わせて新帳票基盤システムを構築した

導入効果

・既存帳票・新規帳票、紙・電子にかかわらず、「帳票の仕分け」「帳票作成」「PDF・CSV化」が行えるようになり、センタープリンタ等の帳票出力側の環境を変えることなく、新たな帳票基盤を構築することができた

・業務側の意識改革の影響も大きいが、移行完了した帳票のうち30%のペーパーレス化を実現した

・GUIを使うことで、以前より簡単に帳票フォームが作成・修正できるようになり、約30%の工数削減に成功した

 

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◆課題:“脱ホストコンピュータ”にともない、受け皿として新たな帳票基盤を構築する必要があった

 

ダイハツ工業のコーポレート統括本部 DX推進室は、人事・総務・経理・経営企画などバックオフィス部門のインフラ・ネットワーク・サーバーなどIT全般を管理する部門です。今回の新帳票基盤構築プロジェクトでは、2018年頃から本格的に脱ホストコンピュータ化への取り組みを進めていました。

もともとは、生産を中心に稼働する富士通ホスト機と、販売・管理を中心に稼働するユニシスホスト機の2本立てで運用していましたが、10年ほど前から仮想化基盤上で一部の業務を動かしていたため、システム基盤となるプラットフォームが合計3つ存在していました。ITシステムの複雑化・老朽化・ブラックボックス化による、国際競争への遅れや経済の停滞など、所謂『2025年の崖』が、ダイハツ工業内にもあったと言えます。

「当社にもホストコンピュータに依存したシステムゆえの非効率な運
用がたくさんありました。たとえば、実務面では一旦、紙に手書きした情報をパンチャーが入力するなど、非効率な手順が残っていましたし、運用面では、構築から30~40年経過した、COBOLプログラムを中心とした仕組みのため、ブラックボックス化しており、10年後には改修に対応できる技術者がいなくなるといった課題もありました。さらに、コストが高止まりしているという費用面の課題もあったため、ホスト機の廃止を決定したのです」(池野氏)

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脱ホスト化に伴い、その受け皿として新たな帳票基盤システムを構築する必要がありました。同時に、以前の帳票基盤システムに潜んでいた課題解決に向けても動き始めたのです。

まず、紙と電子で変換プログラムが異なっており、容易に帳票の出力形態を紙・電子で切り替えられないという課題がありました。これは、帳票出力形態により、変換プログラムと帳票フォーム資産がバラバラに管理されていたためです。紙帳票を出力する場合、富士通ホスト機とユニシスホスト機はそれぞれの基盤ごとに、業務プログラムからゼロックスのプロダクションプリンタに対し、プリンタ用の変換プログラムを介して、紙出力イメージの帳票を作らなければなりませんでした。一方、電子帳票を出力する場合には、電子帳票用の変換プログラムを通す必要があったのです。また、帳票を変更する際には業務プログラムからの改修が必要だったため、開発担当者の工数が増加し、帳票フォームの作成もコーディングで作成するため経験値やスキルによって、改修した帳票フォームの品質や改修時間にもばらつきがあったのです。

 

 

◆解決策:ユニリタプラスが、「一気通貫での保守」と「カスタマイズ無し」のリクエストに応えてくれた

 

現状の機能をカバーしつつ、課題を解決できる新帳票基盤システムを構築するために、ダイハツ工業は2018年秋から調査を開始しました。その調査の一環として足を運んだJFEシステムズの電子帳票システム「FiBridgeII」の事例共有会で、池野氏は、FiBridgeIIとユニリタプラスの製品を連携して帳票基盤を構築しているという事例を聞き、ユニリタプラスに声をかけます。

ダイハツ工業は、「一気通貫で保守ができるベンダーであること」と「標準機能のみでダイハツ工業の運用に沿った機能を網羅できること」を選定の軸としていました。その理由を、池野氏はこう解説します。

「複数の製品を連携させて帳票基盤システムを構築する場合、『A製品とB製品の保守はできるが、C製品についてはD社に問い合わせてください』と言われることもあって。その場合、エラーの内容からどの企業に問い合わせればよいのかを判断するのが難しく、解決まで時間がかかってしまう。そうした事態を防ぐため、一気通貫で保守をお願いできる企業を探していました。また、標準機能にこだわった理由は、製品に手を加えて当社向けのカスタマイズをしていただいた場合、将来的に『誰も仕様を把握していない』とブラックボックス化する恐れがあったからです。過去にカスタマイズを施して属人化してしまったため、その反省を踏まえて必須条件としました」(池野氏)

こうしたリクエストに、ユニリタプラスは「問い合わせ窓口の一本化」「標準機能で必要な機能を網羅」という形で応え、高い評価を受けました。さらに、他社製品では満たせなかったゼロックスのプロダクションプリンタの連携部分の運用をカバーできたことも決め手になったといいます。

「仕分け用のカバー紙の挿入ができることと、部署ごとのソーティングができる点が良かったです。センタープリンタにはさまざまな業務の結果が集中するため、オペレータがバッチ作業を行うと、一気にさまざまな部署宛のデータが出力されます。そのため、オペレータは仕分け用のカバー紙をタイミング良く入れる必要があり、かつ配布部署ごとに並ぶようソーティング行う必要があったのです。しかし、ユニリタプラスの『BSP-RM』がこの役割を満たしてくれました」(池野氏)

こうしてユニリタプラスの提案が受け入れられ、新帳票基盤システム構築プロジェクトがスタートしました。実務に落とし込むにあたって、仕分け用のカバー紙を挿入するタイミングがずれてしまったり、データセンターがプロダクトプリンタのある大阪本社から約100km離れた場所にあるため、帳票生成からプロダクションプリンタのバッファキューにデータを格納するまでの速度や容量の規制をクリアするのが難しかったりといった課題も出てきました。しかし、そのつど解決策をダイハツ工業とユニリタプラスで話し合いながらプロジェクトを進めていったのです。

「当社の運用に乗るように、ユニリタプラスが製品本体を改修してくれたこともあります。結果的に、改修部分は製品の標準機能として取り入れられたので、懸念していた当社用のカスタマイズ無しで機能が網羅できたので助かりました。また、どうしても当社独特の運用フローに当てはめることが難しい部分に関しては、設定方法や設定内容、運用でカバーしていきました」(池野氏)

新帳票基盤システムを構築する過程では、ダイハツ工業の100%子会社であり、システムの運用・保守を手掛けているダイハツビジネスサポートセンター(以下DBC)が協力し、約1年かけてシステムを構築。2021年4月から新帳票基盤システムが稼働を開始しています。

 

 

◆導入効果:帳票フォーム作成・修正工数も30%削減に成功

 

新帳票基盤システムは、「BSP-RM」「Report&FormWarehouse」「FileVolante」の3システムの組み合わせによって構成されています。まず、上流の業務システムから出てきたCSVデータを「BSP-RM」で取り込み、データの中に含まれた仕分けコードに従ってソーティングを実行。次に「Report&FormWarehouse」で、DBCが作成した帳票フォームと取り込んだデータをマージし、帳票を生成。生成完了後、紙帳票の場合はゼロックスプリンタに、電子帳票の場合は「FileVolante」にデータを飛ばしています。これによって、既存帳票・新規帳票、あるいは紙・電子にかかわらず、「帳票の仕分け」「帳票作成」「PDF・CSV化」が可能になり、センタープリンタ等の帳票出力側の環境を変えることなく、新たな帳票基盤を構築することができるようになったのです。

「以前は、『これまで紙出力していた帳票を電子帳票化したい』という要望があった場合、業務プログラムを改修し電子帳票用の変換プログラムを経由する様に修正、かつ電子帳票用の帳票フォームも作成、登録し直す手間が発生していました。『データをください』と要求された際にも、別のプログラムを作ってCSVなどのフォーマットに二次加工して提供するなど、出力形態ごとに手を動かすyamamotosama_2必要があったのです。しかし、『Report&FormWarehouse』の中で、どの形態で出力するかを指示するだけで出力形態を変えられるようになったので、以前の手間から解放されて開発メンバーの負担が減りました。当初、すべてを電子帳票に変えるつもりで電子帳票のソリューションを採用したのですが、『どうしても紙でなければならない』という声は想像以上に多く、紙の全撤廃には至っていません。それならば出力の運用をコンパクトにできないかと考え、今回の仕組みを構築しました」(山本氏)

2021年4月の新帳票基盤システム稼働以降、数値的成果も出てきています。2021年8月、ユニシスホスト機はオープン系に移行が完了し、稼働していたすべての帳票出力業務の移行が完了しました。

「以前は月に約6万ページの紙出力がありましたが、現在は約2000~3000ページまで減っています。これは、業務側でも業務ロジックそのものを見直して、できるだけ紙を減らすように努力しているからという背景があるからなのですが、受け皿としての新帳票基盤システムの貢献度も大きいと思っています」(池野氏)

富士通ホスト機の移行はまだこれからであるため、移行完了したのは帳票全体の約10%ですが、すでに30%のペーパーレス化を実現しており、今後の手応えを感じているといいます。

さらに、業務システム側のテストデータの作成工数削減も実現できています。これまでは帳票レイアウトやフォームのイメージをデータと合わせるために、何度もテストを繰り返していました。しかし、新帳票基盤システムでは業務システム側で作ったデータを『Report&FormWarehouse』に貯めこんでおけるため、帳票基盤システム内部だけでのやり直しが可能になり、平均3回ほど業務側からデータを飛ばし直していた工程が不要になりました。

そして、池野氏が最も大きな成果として挙げたのが帳票フォームの作成・修正工数です。

「これまではコーディングによって帳票フォームを作成していたのですが、新システムではGUIで作成可能になりました。これにより、帳票フォーム作成・修正工数が約30%削減できたのです。さらに、給与明細の圧着作業などプリンタ出力後の工程があるものに関して、もし後工程で不備が出て再出力が必要になった場合も、『Report&FormWarehouse』に1~2週間データが保管されるよう設定しており、スムーズにリカバリーができ、この作業の工数も30%削減できました」(池野氏)

続けて、山本氏は組織として実感するメリットをこう語ります。

「開発リソースが限られている中で、いわばインフラのような、絶対に止めてはならない運用を効率化できるようになりました。その分、さらなる業務効率化を考えることに、今後は時間をつかっていきたいと思っています。付随的な効果としては、コーディングに比べるとGUIは少ない学習時間で身に付けることができるため、引き継ぎの工数が短縮されたり、誰もが即戦力として活躍しやすかったり、担当者の手が離せないときは誰かが代わりに対応したりといったことに繋がると思っています。労働力不足の時代において、『誰もが業務に携わりやすくなる』ことは、大きなメリットになると感じています」(山本氏)

 

 

◆今後の展開:ペーパーレス化を推進し、目指すは70%減

 

今後の運用をさらに円滑にするにあたり、ユニリタプラスへの要望を尋ねたところ、「細かい機能要望になりますが、マスターの登録の簡易化や、集計系などデザイナー機能の強化、担当者がデータを簡易的に見られる機能の上限拡張などをお願いしたいです」と池野氏。また、DBCの小出氏は「製造部門では、あらゆるシステムから数字を引っ張ってきて、クロス集計を行って帳票に表示することが必要です。数字の連携や集計の表示がより簡便化されると、さらに使いやすくなると思います」と続けました。

さらに、ダイハツ工業の今後の展望に関して、池野氏は帳票作成にかかる工数のさらなる低減を挙げます。GUIとはいえ、慣れている人と慣れていない人の間に作業時間の差はあるため、平準化を進めたり、ひな形を使って工数を減らしたりといった工夫を考えているそうです。また、すべての帳票を新帳票基盤システムに移行する際のテスト工程を、できるだけ手戻りのない手順で確立することにも取り組んでいこうとしています。

「当グループとしては、脱ホストの完遂とそれに伴う帳票の移行が大きな目標です。現時点で140帳票の移行が完了していますが、2023年までに500帳票、そして2026年には今ある2000~3000の帳票をすべて新帳票基盤に移行したいです。そして、当該基盤を生かしたペーパーレス化のさらなる推進を目指しています。現在年間150万ページあるプロダクションプリンタからの出力を、富士通ホスト機の移行完了時には70%減の45万ページにしたいなと。ゼロにすることはできなくても、必要最低限の数にしたいです」(池野氏)

また、山本氏は電子帳簿保存法の制定などを追い風にペーパーレス化を推進していきたいという思いを語り、同時に「開発担当者にデータの加工を頼んで、待っている時間」をいかに減らすかにも注力したいと話します。

「データの二次活用のニーズが多くあるからこそ、こちらが素早くデータだけ渡して、その後はユーザーがExcelやBIツールなどを使い、望むアウトプットを自分で出せるようになれば理想だと考えています。仕事はスピードが大事だからこそ、早急にアウトプットを出して、次のアクションにどう繋げるかを考えることに時間を使えるようになれば、さらに生産性を向上させることができるのでは、と思います」(山本氏)

最後に、本プロジェクトに関わった皆様にユニリタプラスの支援に対する感想や期待を伺いました。

hisadasama_2「システム構築する中で課題にぶつかった際、設定や運用の工夫で何とかできないかと社内で考えたのですが、どうしても解決法が浮かばずご相談させていただくことがありました。その度に製品の性能向上に努めていただくなど、こちらの声を真摯に受け止めて対応してくださったことに感謝しています」(久田氏)

 


「GUIで帳票が作成できる点は非常に便利です、ゼロックスプリkoidesama_2ンタの帳票フォームコーディングやCOBOLの知識が無い私でも簡単に作成できました。また、作成した帳票のイメージを見せて意見をいただくユーザーレビューの場面においても、『この項目は不要』や『この値が違う』と言われた時に、その場で修正・反映し、すぐに確認していただけるので、スピード感を持って帳票作成ができるという点でも期待に応えてくれる製品です」(小出氏)

「PoCからスタートして現在まで3年ほど、迅速かつ手厚いサポートをしていただいたおかげで、無事本番稼働を迎えられました。今後も最新の技術動向を敏感にキャッチして、システムの開発や提案に生かしていただけることを期待しています」(池野氏)

「我々の要望を汲みながら製品を進化させていただけて、非常に感謝しています。新しく追加した機能や向上した性能が、ユニリタプラスの別のお客様にも活用されたならば、私たちもお役に立てたのかなと思うことができます。ユニリタプラスのメンバーと仲間のような関係性を築いてプロジェクトを進められたからこそ、今回のプロジェクトが成功したと思っています」(山本氏)

 

 

 

 

ダイハツ

▼Corporate Data

社名:ダイハツ工業株式会社

事業内容:軽自動車、小型自動車の設計開発・製造・販売

設立:1907年3月1

従業員数:13,033名(2021年4月1日時点)

URLhttps://www.daihatsu.co.jp/top.htm