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株式会社飯田

1923年の創業以来、関西を拠点に原料加工業から製造業、卸売業、小売業、サービス業まで、酒類に関わる幅広い事業 展開を行っている飯田グループ。同グループ本社である株式会社飯田では、人手不足解消や業務の標準化実現のために、 RPAによる業務の自動化を推進しています。RPAが苦手としている大量データの処理や加工には、ユニリタが提供するETL ツール「Waha! Transformer」を活用。RPAの組み合わせにより、経理業務や監視業務の大幅な工数削減を実現しています。

 

 

課題

・社員の高年齢化が進み、将来的な労働力不足が懸念された

・仕事の知識やノウハウが属人化しており、業務の標準化ができていなかった

・単純だがミスの許されない業務や、時間の制約を受ける監視業務などに工数がかかっていた

解決策

・デジタルレイバーであるRPA(BizRobo!)を導入し、RPAの苦手な大量データ処理・加工を「Waha! Transformer」が担うことにより、経理業務や監視業務の自動化を実現

・業務の自動化により属人化を解消、人為的なミスがなくなり監視業務もなくなった

導入効果

・RPA+ETLツールにより大幅な工数削減に成功、業務効率化や自動化に対する社内の意識も向上

・工数削減により時間に余裕が生まれ、シフトが組みやすくなり、社員の働き方の柔軟性も向上

 

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◆課題:人手不足解消や業務標準化実現のためにRPAを導入

 

飯田グループは「三方よしの経営」と「ひとりひとりの成長を喜び発展する企業」を企業理念とし、1923年(大正12年)の創業以来、長きにわたって関西を拠点に酒類を中心とした事業を展開してきました。原料加工業から製造業、卸売業、小売業、サービス業まで、酒類に関わる幅広い事業を行っていることが特徴です。

母体である株式会社飯田は、酒類に関する深く多方面にわたる知識と、多種多様な業態に対応できる幅の広さを持つ地場の酒問屋として信頼を得ています。この事業が基幹としてある上で、受注部門や物流部門が独立。他にも自社で酒蔵を構え、酒樽材として最高と言われる奈良県吉野産の樽丸を使用して、樽添え技術を活かした日本酒の製造も行っています。このようにグループ23社で多様な事業を展開することで、「酒類のある豊かな生活」 を演出し食文化の発展に貢献することを目指しています。

2017年の始め、同社は「人手不足」の課題に直面していました。社員の飯田2高年齢化が進み、後継者の育成が間に合っておらず、外部から採用するにも当時は圧倒的な売り手市場。優秀な即戦 力人材をスピーディーに採用することは難しい状況でした。また、一つの部署や役割を長年務めてきたプロフェッショナル人材 が多かったために、仕事の知識やノウハウの属人化が進んでしまったこと、誰でも扱えるような仕組み化や明文化といった業務の標準化がされていなかったことなどの問題があり、それぞれの業務を誰がどのように補填するのかに悩んでいたのです。

こうした人手不足の解消や業務の標準化実現を目指す中で、手段として注目したのがRPAの導入です。その理 由について、社内の業務 改善と働き方改革の推進を担うBPR推進室のリーダーであり、システム部にも所属している山本 直樹 氏は当時を振り返りながら語ります。「社員の力を効果的に活用して生産性を向上させるためには、業務プロセスを可視化して、既存業務の標準化と効率化を図れる仕組みが必要だと感じました。自社でシステム開発を行うことやパッケージ導入という選択肢もありましたが、手間と費用がかかってしまいます。そこで、デジタルレイバー(仮想知的労働者)の活用を検討するようになり、2018年4月にRPAを導入したのです」。そして、経営陣から特に標準化・省力化を要請されていた、経理・システム・受注業務などの領域を、RPAに代替させることにしました。

 

 

◆解決策:データの処理や加工はETLに任せ、RPAとのコラボレーションで業務を自動化

 

RPA導入後の業務改善について、「業務そのものは小規模であ るものの時間の制約が厳しい作業や、単純業務であるが反復回数が多くミスが許されない入力・監視作業を中心にRPAに置き換えていきました」と山本氏は語ります。一方で、RPA単体では運用が厳しい部分もありました。「RPA単体では、大量データの処理やExcelの加工などの作業が難しかったのです。処理速度が遅かったり、そもそもデータ量が多すぎると処理自体を遂行できなかったりする状態でした。そこで、その領域を得意とするETLツー ル「Waha! Transformer」と組み合わせることにしたのです」。

そう思い付くことができたのは、同社が2009年からDWHのデータベース作成やホスト移行データ処理のためのETLツールとして 「Waha! Transformer」を導入・活用しており、ETLツールの特性をしっかりと把握していたからでした。「たとえば、基幹システムのデータをDWHに連携してテーブルの作成と更新を行うため、 現場が日次や月次で確認したい基幹システムで管理しているデータを加工・変換して出力するため、生産管理システムのデータを帳票用に加工するため、といった役割で「Waha! Transformer」をすでに活用していました。そうした経験から、ETL側に得意なデータの処理や加工を任せることで、RPAにはデータを見て判断してアクションをするという得意なことだけを担わせることができ ると思ったのです」と山本氏は説明します。


「Waha! Transformer」とRPAのコラボレーションによって業務を自動化するためのシナリオは描けたものの、一番苦労したのは 現場のオペレーション変更を求める説得だったと山本氏は振り返ります。「現場の担当者の方にも、長年その仕事をしてきたプラ イドがあります。“あなたの仕事をこう変えてくれませんか?”と依 頼をしたときに、“自分の仕事がロボットに奪われる”という風に 捉えられてしまってはいけませんよね。だからこそ、“この仕事は自動化させて、代わりにあなたにはこうした企画の仕事を担っていただきたい”と、人がより時間をかけて取り組むべき仕事を作っ て、こちらから提案するということは意識しました。同時に、現場 の管理職には自動化によって見込める残業時間やコスト削減の具 体値などを示しながら、社内を巻き込みつつ業務の自動化を進めていきました」。

 

◆導入効果:反復業務や制約が厳しい業務から解放する事で人材活用に繋げる

 

現在は複数の業務で、「Waha! Transformer」とRPAを組み合 わせて業務の効率化と自動化を実現しています。中でも大きな工数削減が実現できているのは、経理部の業務です。たとえば売掛金の入金・入力業務の場合、これまでは入金データの確認や売掛金との照合を二人がかりで行っており、手間も時間も掛かっていました。「これを、①RPAが入金データを取得してExcelに入力、その後照合用のCSVファイルを作成する。②「Waha! Transformer」 が入力データと照合用ファイルとを照らし合わせて、最終照合ファイルを作成。③作成された最終照合ファイルをRPAが取得して、 経理部担当に送信。というフローに変えました。こうすることで、 月に約20時間、年間で約250時間分の業務削減に成功したのです」と山本氏は成果について語ります。

システム部のEDI監視業務にも、「Waha! Transformer」とRPA が活用されています。これまでは特定のオペレーターが15分に1 回、ジョブに異常が無いかを確認しなければならない定型業務が 発生していました。この業務については、①「Waha! Transformer」 が基幹システムのジョブ管理テーブルを見に行って対象ジョブのメッセージを定時でCSV出力。②RPAがCSVの内容を確認して異常 が無ければ完了、異常があれば担当者に検知メールを送信する。 というフローにしました。このフローにすることで、監視業務を自動化でき、オペレーターに別の仕事を任せることができるようになったのです。

工数削減だけでなく、山本氏は社員の働き方の変化も感じています。「これまでは、“絶対に〇時に確認しないといけない” “〇分 おきに監視しないといけない” といった縛りがあったので、たった1 ~ 2分の作業のためにオペレーターを配置していました。そ の必要が無くなったためシフトも組みやすくなり、働き方の柔軟性が増しました。“特定の者に時間的制約のある業務が偏る” などの不公平感や精神的な負荷も解消されたので、非常に良かったと思っています」。

「Waha! Transformer」とのコラボレーションも含めて、現在 RPA全体では96業務で252体のロボを稼働させており、削減効果 は年間8,490時間にも及んでいます。進めてきた業務改善の成果については、全社でも発表の機会を設けてしっかりと社内に報告しました。すると、「自分たちの部署にある、この業務を自動化できる方法はないだろうか」という問い合わせが各所から多く寄せられるようになりました。「今まで効率化や自動化をすることは無理だろうと諦めていたメンバーも、成果を聞いて “業務改善が実現できるかもしれない”と前向きに考えるようになっています。生産性向上に対する意識が高まってきましたね。経営陣からは、“単に 今の業務フローを自動化させようと考えるのではなく、本当に最適な業務フローを考えて再構築を進めなさい”と言われているので、その意識を持って改革を進めていきたいです」と山本氏は語ります。

RPAとの組み合わせにより相乗効果を生んだ「Waha! Transformer」について、山本氏は「大量のデータ処理やデータ加工にものすごく優れている便利なツールです。ノンプログラミング で直感的に操作できるので、新人のメンバーでもすぐに習得でき る点も大きな長所ですね。現在システム部では10名が活用しています」とその操作性を評価しています。また、「年々バージョンアッ プもしていて、2020年6月リリースの新バージョンでは、WebAPIの 強化(RESTクライアント)やブラウザコンソールの追加、作成したデータ連携ジョブの新旧比較・差分表示ができることで世代管理ができるようになるなど、うれしい機能追加もありました。WebAPIについては個人的にもっと勉強してみたいですし、これまで以上に幅広い活用法を考えていけそうです」とバージョンアップ情報にもアンテナを張っておられます。一方で、「便利だからこそ、基幹システムのマスターテーブルを「Waha! Transformer」を使って更新して しまうなど、ETLツールの役割以上のことを担わせてしまっていたの で、このあたりは是正して本来の利用法で活用していきたいです」 とも話しています。

 

 

◆今後の展開:業務の自動化範囲も広げながら、さらに人材の機動性を高めてゆく

 

今後については、さらに範囲を広げて業務の自動化を実現していく構想を持っています。「紙でやり取りしている業務においても、 属人化やミスを防ぐために確認作業を自動化していきたいので、 次世代AIOCRツールを導入して「Waha! Transformer」やRPAとコラボレーションさせたフローを組むことを検討しています。また、 当社ではまだまだExcel文化が根強く、経理やグループ企業の管理業務では、複雑なマクロが組まれたり1つのブックの中に数十のシートを作成したりしているような作り込まれたExcelも多く存在します。現状のままでは作成者以外の者が活用することは難しいため、これらの標準化や自動化も進めていきたいです」。

同社には総務・人事を担当する管理部とシステム部と経理部 がありますが、業務効率化のためにこれらの本部業務をより効率 的に運用する業務再編も必要であると山本氏は語ります。「たと えば管理部しか閲覧できないデータがあると、そこで一度加工の手間が発生して、さらに内容のチェックやフォルダの制限が必要になるなど、無駄な工数が膨らんでしまいます。RPAを介することで作業が統合できたら、業務がかなりスリムになると思うので、 将来的に目指していきたいと思っています」。

大正時代から90年以上続く歴史ある企業ながら、アグレッシブに業務改革を進める同社。2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響による危機感もあって、その動きはさらに加速しています。「当社の業態も大きな影響を受けており、注文数は前年比5 ~ 6割ほどになっています。この状況下で、これまでと同じ仕事のやり方をしていて会社が成り立つはずはありません。環境の変化は止められないので、受け止めて前向きに変えていくしかないのです。時代やその時その時のニーズに合わせて人材を機動的に活用するためにも、業務の再構築と効率化・自動化を進めていきたいです」と、今後を見据えていました。

 

 

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▼Corporate Data

社名 :株式会社飯田(グループ23社)

事業内容 :酒類食品卸売業

設立 :1923年6月

従業員数 :472名(2020年4月現在グループ合計)

URL :http://www.iidagroup.co.jp