デジタル技術の進歩が目覚ましい近年、個人の経験や知見に頼らず、論理的かつ公正な意思決定が行えるという理由から、企業が抱える膨大なデータの利活用が注目されています。
マーケティング戦略や事業推進、業務効率化など様々なシーンで役立ちますが、データはそのままでは使用できず、「分析」を行う必要があります。
データ分析は、どのような方法で行えば良いのでしょうか。また、どのような手順で行えば良いのでしょうか。
今回は、データ分析の代表的な手法と手順について解説します。
分析を行う上で把握しておきたいポイントや注意点も併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
データ分析の名前は耳にしたことがあっても、詳しくは知らないという方もいるでしょう。
まずは、データ分析を行う目的や、必要とされている理由について解説します。
・データ分析を行う目的 ・データ分析が必要とされる理由 |
データという明確な根拠に基づき、迅速に意思決定を行うことを目的に行われるのが「データ分析」です。
組織の現状や特定の事象を把握するための手段であり、データ分析自体が目的ではないという点には注意が必要です。
従業員全体が、あくまで「問題を解決するために用いられる手段の一つ」として捉えておくことが大切だといえるでしょう。
仮説と検証を繰り返すことで、迅速であるというだけでなく、より精度や透明性の高い意思決定が行えるという点がデータ分析の魅力です。
様々なデータから必要な情報だけを捉え、ターゲットを絞って実行できるという点から、業務にかけるコストや手間、失敗のリスクを最小限に抑えられるという点も、データ分析を行うメリットの一つだといえます。
消費者の価値観が多様化している現代、市場の動向も目まぐるしく変化しています。
従来のビジネス手法では時代に追いつくことが難しく、新たなビジネスモデルとして、デジタル技術を活用した手法が注目されているのです。
他社との競争の中で優位性を確立するためには、デジタル技術を活用して事業や業務プロセス、商品やサービスなどを変革し、企業の競争力を高める「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が必要不可欠だといえるでしょう。
データ利活用を行うためには、まずは企業がデータ分析を行う必要があります。
データ分析は、どのような手法で行えば良いのでしょうか。代表的な手法を8つご紹介します。
①主成分分析 ②クラスター分析 ③時系列分析 ④ロジスティック回帰分析 ⑤因子分析 ⑥決定木分析 ⑦相関分析 ⑧ABC分析 |
大量の情報を少量の情報に要約することで、データを理解しやすくする手法を「主成分分析」といいます。
大きく散らばっている複数の情報を少量(主成分のみ)に要約することで、データの構造やパターンなどの特徴を捉えやすくなるという点がメリットです。
データ量が少ないほど迅速に分析が行えることから、効率的に分析を行いたい場合に適しているといえるでしょう。
主成分分析を行うことで、店舗や商品、サービスなどの良い点や悪い点を可視化し、課題や解決策を容易に導き出せます。
データという集団の中から特徴が似ているものを集め、グループ(クラスター)に分けて分析を行う手法を「クラスター分析」といいます。
膨大な量の情報を単純化してグループ分けできることから、全体の大まかな傾向を把握したい場合に役立ちます。
分析対象は多岐に渡り、市場での立ち位置や企業の認知度、消費者の購買傾向などを把握することが可能です。
顧客データの分析を行った場合は、安さを重視するグループにはセール情報を提供し、リピート率の高いグループには新商品の情報を提供するなど、効果的なマーケティングが実現するでしょう。
時間の経過に伴って変化する流動的なデータを分析する手法を「時系列分析」といいます。
売上額や来客数、株価といったデータが、どのような要因で変化するのかを明らかにすることで、マーケティング戦略に役立ちます。
将来のデータ数値を予測できることから、販売予測や在庫管理、市場動向の予測や消費量予測にも役立つでしょう。
また、個人の勘や経験といった属人的な判断ではなく、データに基づいた論理的かつ公正な判断が行えるという点もメリットだといえます。
膨大な量のデータの中から、異なるデータ同士の関係性を可視化して比較する手法を「ロジスティック回帰分析」といいます。
主に2つのデータの関係性を分析する「単回帰分析」と、2つ以上のデータの関係性を分析する「重回帰分析」の2種類に分かれます。
問い合わせ数を分析する場合は、どのような人物が問い合わせを行ったのかではなく、問い合わせを行った人物が男性か女性かといった2択で整理できるという点が特徴です。
2つの選択肢によって区分されることから詳細の把握は難しいものの、検証を繰り返すことで精度の高い分析が実現します。
マーケティング戦略や売り上げ予測など、様々なシーンで役立つでしょう。
複数のデータの相関関係を分析し、要因や原因といった共通因子を探し出す手法を「因子分析」といいます。
マーケティング戦略に役立つ手法で、消費者心理を把握したい場合に用いられることが多いです。
新商品が売れている理由を知りたいときに、消費者心理を分析することで「トレンドへの興味・関心が高い」という共通点を見出すことができます。
トレンドへの興味・関心が高い顧客に対して新商品の販売情報を送付すれば、売り上げの向上が期待できることから、ターゲットを絞り込んで的確に販売戦略を考案できます。
木構造(ツリー)を活用してデータの分類を行い、複数のパターンの結末を予測する手法を「決定木分析(ディシジョンツリー分析)」といいます。
決定木分析ではデータを視覚的にわかりやすく表現できるため、数学や統計学を苦手とする方でも、結果を容易に理解できるという点がメリットです。
単純に結末を予測するだけでなく、それぞれの結末が発生する確率も算出できることから、マーケティングやリスクマネジメントで役立つでしょう。
商品を購入する可能性が高い顧客の属性を予測したい場合に決定木分析を用いれば、ターゲットを年齢や性別、家族構成や居住地域まで、細かく絞り込むことが可能です。
複数のデータから相関関係(関係性)を見つけ出し、分析する手法を「相関分析」といいます。
主に2つの要素間の関係性を知りたい場合に用いられる手法で、一方の変化によってもう一方がどのように変化するのか、パターンを把握することができます。
例えば、「天気」と「売上」がわかるデータを分析することで、「晴れの日には売り上げが増加する」、という2つの要素の関係性を見つけることが可能です。
相関分析を行えば、販売数を予測したり、新規顧客を増やしたりと、マーケティング戦略に役立つでしょう。
売上や在庫、コストなどの指標を定めて、データを重要度が高い順からA・B・Cと分類する手法を「ABC分析(重点分析)」といいます。
主に販売する商品を選定したり、人気の高い商品を調査したりする際に用いられる手法で、販売戦略の立案に役立ちます。
売れ筋の商品を調べたい場合には、「売上」という指標を決め、次に過去の売上データを金額、もしくは個数別に3段階に分類しましょう。
A・B・Cの3つの段階の区切り方に決まったルールはなく、分析を行う担当者が自由に設定できます。
累計売り上げの「3割以上を占めている商品」、「1~3割を占めている商品」、「1割に満たない商品」といった具合に、指標の値を見て設定してください。
業務効率化を目的にデータ分析を行いたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:業務効率化とは?重要性やメリット、進め方や成功させるポイントについて解説
\実際の導入事例を無料でダウンロード/
やみくもにデータ分析を行っても、余計に時間や手間がかかってしまうことがあります。
スムーズに作業を進めるためにも、事前にデータ分析の手順をチェックしておきましょう。
1.課題を定義して目的を設定する 2.データ分析の手法を選択する 3.データを収集・整理を行う 4.分析結果を評価して役立てる |
新たな取り組みとしてデータ分析を行う場合、それ自体が目的となってしまい、ビジネスに活用することができないというケースも珍しくありません。
データ分析を行う際には、まずは課題を定義して、しっかりと目的を設定しておきましょう。
どのような課題があり、どのように解決したいのか、明確な目的が決まっていなければ、データの収集や分析など、後に続く作業が滞ってしまいます。
従業員全員が共通認識を持ってスムーズに作業を行えるように、「売り上げの低下を防ぐために、新規顧客を獲得する」、「製造数を確定させるために、売り上げの予測を行う」など、解決したい課題に合わせて明確な目的を設定しておいてください。
課題が明らかになり、解決のために目的を設定した後には、データ分析の手法を選択します。
上述した通り、データ分析に用いられる手法には複数の種類があり、目的によって選択するべき手法は異なります。
顧客が商品を購入する確率を知りたい場合には、「決定木分析」が適切だといえるでしょう。
しかし、顧客の行動パターンを知りたい場合には、「クラスター分析」が適切だといえます。
このように、目的によって選択すべき手法は異なるので、遠回りをしないためにも適切な手法を選択しましょう。
分析に使用するデータは、多ければ多いほど良いというものではありません。
必要としていないデータまで混ざっていると、分析に多くの時間がかかってしまいます。
目的と手法が決まったら、必要なデータを収集した上で、分析がスムーズに行えるように整理しましょう。
データが十分に蓄積されていない場合は、目的に合わせて収集を行います。
適切な結果を得るためにも、データが十分量蓄積されるまで待ってから収集・整理を行ってください。
データ分析を行った後には、必ず結果の評価を行いましょう。
分析を行うこと自体を目的としていると、結果が出たことに満足してしまうケースがあります。
業務に役立てなければ意味がないので、結果が出た後には必ず評価を行ってください。
今回の分析によって得られた結果は事前に予測していたものと相違がなかったか、得られた結果をどのように業務改善や経営戦略に活用するのか、担当者間だけでなく組織全体で評価を行うことが大切です。
\BIツールやサービスを導入するならこちらもチェック/
手順に沿って作業を進めることも大切ですが、他にも注意するべきポイントがいくつか存在します。
最後に、データ分析で失敗しないために知っておきたいポイントと注意点をご紹介します。
・目的を明確に設定する ・データ分析を行う体制を整える ・BIツールを活用する |
データ分析を行う前に目的を設定することが大切だとお話ししましたが、可能な限り詳細に設定しておくことをおすすめします。
「売り上げを向上させたい」、「顧客を獲得したい」という曖昧な設定では、具体的な解決策を見つけ出すことが難しくなってしまいます。
データ分析手法の選択や、BIツール・サービスの導入も難しくなってしまうので、可能な限り詳細に目的を設定しておきましょう。
個人の経験や知見に偏ってしまうと、データ分析を行っても精度が落ちてしまいます。
データ分析は個人ではなく、複数人のチームで行いましょう。
複数人で取り組むことで、偏りのない信頼性の高い結果を得られる可能性が高まります。
組織内に専門的な知識やスキルを有する、データ分析のプロフェッショナルが複数人いれば、適切な人材をピックアップしてチームを組みます。
組織内にデータ分析を行える人材がいない場合は、データ分析への興味・関心が高い従業員を集めてチームを組んでください。
データ分析の作業には多くの時間と手間がかかるため、従業員の業務負担が増えてしまいます。
データ量が多いほどに分析の難易度は上がってしまうので、効率的に作業を行うためにも、BIツールやサービスを活用しましょう。
データ分析に適したBIツールやサービスを頼ることで、効率的に作業を行えます。
また、自動的に分析が行えることから、人的ミスが起こりにくいという点も大きなメリットだといえるでしょう。
導入にはコストがかかりますが、従業員への業務負担を軽減し、人件費を削減できると考えれば、決して損ではないはずです。
データ分析に役立つツールを探しているという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:おすすめのデータ分析ツールを徹底比較!ツールを導入するメリットや選び方について解説
組織内でデータ分析を行うとなると、敷居が高いと考える方もいるでしょう。
しかし、デジタル技術の進歩と共に、手軽に使用できるBIツールやサービスがたくさん登場しています。
今後、ますます業務改革や事業推進に注力したいという方は、BIツールやサービスを駆使してデータ利活用を実現しましょう。
データ分析に関するお悩みは、株式会社ユニリタプラスへご相談ください。
企業様が抱える課題や目的に合わせて、最適なBIツールやサービスをご紹介いたします。
導入に際してのサポートはもちろん、業務改革や事業推進に関するコンサルティングサービスも行っております。
「顧客データをマーケティングに活用したい」、「定型業務の自動化を目指したい」など、まずはお気軽にご相談ください。
\無料で相談!お問い合わせはこちら/