デジタル技術の進歩により、膨大な量の情報を収集することが可能になりました。
しかし、情報を収集しただけでは、ビジネスに役立てることはできません。
情報を蓄積・収集した上で、加工・可視化・分析を行う必要があります。
今回は、データ利活用のために知っておきたい「データ分析基盤」について解説します。
データ分析基盤を構成する要素やそれぞれの特徴、構築手順や選び方もご紹介しますので、ぜひご一読ください。
「データ分析基盤」とは
収集から分析までの作業を一貫して行い、情報を活用できるように統合するシステムの集合体を「データ分析基盤」といいます。
基本的にデータ分析基盤は、下記の4つの構造から成り立っています。
・データレイク(未処理のローデータを格納) ・データウェアハウス(処理済みの構造化データを格納) ・データマート(加工されたデータを格納) ・BIツール(目的に合わせてデータを分析・可視化) |
Excelのような表計算ツールでも、情報の分析や加工を行うことができます。
しかし、人の手で膨大な量の情報を処理することは難しく、作業には多くのリソースを割くことになります。
形式の異なる大量の情報を効率的に統合したい場合には、データ分析基盤が必要不可欠だといえるでしょう。
データ分析基盤を構成する3つの要素
データ分析基盤は、3つの要素によって構成されています。
基本的な構造だけでなく、それぞれの要素(役割)も併せてチェックしておきましょう。
1.データを収集・蓄積する 2.データを加工する 3.データを可視化・分析する |
1.データを収集・蓄積する
データ利活用を実現するためには、まずは素材となる情報を収集・蓄積する必要があります。
システムやwebサービス、IoTデバイスなどの様々なデータソースと連携を行い、組織内外の情報を収集・蓄積することで、データ分析に必要な素材を揃える必要があるのです。
各種データベースから集められた情報は、未加工のまま「データレイク」に保管されます。
データレイクでは、情報が各種データソースから集められたままの状態で保管されます。
2.データを加工する
データレイクに保管された未加工の情報(生データ)は、そのままでは分析に使用できないため、第2段階として加工が行われた上で「データウェアハウス」に保管されます。
さらに顧客情報の分析や売上情報の分析など、目的や用途別に必要な情報を抽出・分類された上で「データマート」に保管されます。
情報の加工は、データ分析を行うための大切な前準備です。
加工やクレンジングを行うことで、よりスピーディかつ効率的に、精度の高いデータ分析が実現します。
3.データを可視化・分析する
データウェアハウスやデータマートに情報が保管されたら、BIツールを用いて可視化・分析を行います。
保管された情報は数字や文字で表示されるため、量が多いほど分析は簡単ではありません。
そのため、チャートやグラフによって可視化を行う必要があります。
BIツールを利用すれば、特別なスキルがなくとも可視化や分析が可能となります。
組織内のデジタル化が促進され、ビジネスの様々なシーンでデータドリブンな意思決定が実現するでしょう。
データ分析について知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:おすすめのデータ分析ツールを徹底比較!ツールを導入するメリットや選び方について解説
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データ分析基盤の構築が必要とされる理由
デジタル化やデータ利活用を推進するためにデータ分析基盤の構築が必要だといわれていますが、構築を行うと、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
具体的なメリットをいくつかご紹介します。
・データ分析を行える環境が整う ・ビッグデータをスピーディに分析できる ・一元管理することでデータの品質が向上する |
■データ分析を行える環境が整う
データ分析基盤を構築する最大のメリットは、前準備を含め、データ分析を行える環境が整うという点です。
上述した通り、単純に情報を収集・蓄積するだけでは分析が行えません。
加工・可視化・分析の一連の流れを人の手で行うには、高度な専門知識やスキルが必要であり、作業が属人化しやすいという問題があります。
しかし、データ分析基盤を構築すると、組織内の誰もがデータ分析を行える環境が整います。

個人の経験や勘に頼るのではなく、全ての従業員が情報に基づいた論理的判断を行えるという点は、大きな魅力だといえるでしょう。
データ分析基盤の構築は、データドリブンな組織づくりの第一歩です。
■ビッグデータをスピーディに分析できる
膨大な量の情報をスピーディかつ効率的に分析できるという点も、データ分析基盤を構築するメリットの一つです。
分析する情報の量が多いほどに、収集から分析までの一連の流れに多くの時間と労力が必要となります。
しかし、データ分析基盤を構築すれば、上記の工程を一貫して行うことが可能です。
複雑な集計作業を行ったり、チャートやグラフを作成したりする必要はないので、データ分析のスピードや効率が格段に向上するでしょう。
■一元管理することでデータの品質が向上する
組織内に分散する情報を一元管理することで、品質が向上するという点もまた、データ分析基盤を構築するメリットだといえるでしょう。
生データをそのままの形で散在させておくと、必要な情報が見つからなかったり、見つかった情報が加工済みなのかわからなくなったりすることがあります。
用意した情報が正確なものでないと、データ分析を行ったとしても信頼できる結果は得られません。
より高度で複雑な分析を行いたいという場合には、情報を一元管理して品質を向上させましょう。
データ分析基盤の構築手順
事前に構築手順を把握しておくと、スムーズにプロジェクトを進行できます。
データ分析基盤の構築を検討しているという方に向けて、具体的な手順をご紹介します。
①目的を明確に設定する ②プロジェクトの推進チームを編成する ③データ分析基盤の設計を行う ④データ分析基盤の構築を行う ⑤運用を開始して改善を行う |
①目的を明確に設定する
複数の役割を持つシステムであるデータ分析基盤を導入する場合は、あらかじめ目的を明確に設定しておく必要があります。
目的が明確でないと、どのように活用すれば良いのかわからず、データ分析基盤が利用されない可能性があるのです。
導入にかけた時間やコストが無駄となってしまうので、事前に「どのような課題を解決したいのか」、「どのような目標を達成したいのか」、目的を明確にしておくことが大切です。
自社の業務内容や経営方針に合わせて目的を設定し、従業員同士で共有しておきましょう。
②プロジェクトの推進チームを編成する
目的を明確に設定したら、次にデータ分析基盤の構築を行うプロジェクトの推進チームを編成します。
チームには、データ構築基盤を構築したり、利用したりする従業員を選定しましょう。
また、現場だけでプロジェクトを進めてしまうと定着しない可能性があるので、経営層も巻き込んで取り組むことが大切です。
特定の部署だけでなく従業員全員にプロジェクトを周知して、組織全体で取り組むことを心がけましょう。
③データ分析基盤の設計を行う
プロジェクトの推進チームを編成したら、次に情報の収集から分析までの各フェーズで、どのようなシステムが必要かを検討します。
・データ収集・蓄積 ・データ加工 ・データ可視化・分析 |
それぞれの作業を行うために、必要となるツールやクラウドプラットフォームを選定しましょう。
どのような情報を収集したいのか、また、どのような分析を行いたいのか、情報の量や種類、分析の方法によって、データ分析基盤の設計方法は異なります。
①で決定した目的に合わせて、業務や経営で必要となるデータ基盤の設計を行うことが大切です。
④データ分析基盤の構築を行う
設計が完了してツールやクラウドプラットフォームの導入を行ったら、いよいよデータ分析基盤の構築を行います。
組織内に散在する情報を「データレイク」に移行して処理を行い、「データウェアハウス」へ格納しましょう。
分析の目的に合わせて加工を行い、「データマート」へ格納したら、BIツールで可視化・分析を行います。
データ分析基盤の構築を急いだり、一気に進めたりすると、トラブルが起こった場合に対応できず、現場が混乱してしまう可能性があります。
万が一に備えて、導入の際には「テスト検証」を行いましょう。

⑤運用を開始して改善を行う
データ分析基盤の運用を開始した後も、定期的に結果を確認して、検証や改善を繰り返すことが大切です。
事前にテスト検証を行っていても、組織全体で運用を開始すると問題が出てしまうことがあります。
導入したデータ分析基盤を有効活用するためにも、想定通りに機能しているか検証を行いましょう。
従業員全体にデータ分析基盤の利用を促進すると同時に、問題が起こっていないか確認します。
問題が起こっている場合は、設計を見直して改善を目指しましょう。
データベース構築について知りたいという方は、下記ページも併せてご覧ください。
関連ページ:データベース構築にはいくらかかる?費用相場やコストを抑える方法について解説
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データ分析基盤を選ぶポイント
自社に合ったデータ分析基盤を選ぶためには、どのようなポイントに注意する必要があるのでしょうか。
最後に、データ分析基盤を選ぶポイントをご紹介します。
・従業員全員が直感的に扱えるか ・自社に必要な機能や環境が揃っているか ・一連の作業をオールインワンで行えるか |
■従業員全員が直感的に扱えるか
組織全体でデータ利活用を促進するためには、従業員全員が直感的に扱えるデータ分析基盤を構築する必要があります。
せっかくデータ分析基盤を構築しても、使い勝手が悪いと、敬遠されて定着しない可能性があります。
テスト検証の段階で、チーム以外の従業員にも使い勝手を確認してもらうと良いでしょう。
ユーザーフェースの操作性や視認性を実際に確認してみて、専門知識がなくとも直感的に扱えるツールやクラウドプラットフォームを選択することが大切です。
■自社に必要な機能や環境が揃っているか
選択すべきデータ分析基盤は、組織によって異なります。
ツールやクラウドプラットフォームを導入する際には、現在使用している業務システムとの連携が可能であるかよく確認しておきましょう。
新たに業務システムを導入する可能性がある場合は、拡張性についても確認しておくことが大切です。

■一連の作業をオールインワンで行えるか
情報の収集から分析までの作業が、オールインワンで行えるデータ分析基盤を選択しましょう。
それぞれの作業を異なるシステムで行うと、連携が行えない可能性があります。
連携を行うために新たな解決方法を考案・施行すると、データ分析の効率が下がるだけでなく、余計にコストがかかってしまう可能性もあります。
混乱を防ぐためにも、情報の収集から分析まで、全ての作業がオールインワンで行えるデータ分析基盤を選択することが大切です。
まとめ
組織が抱える膨大な量の情報は、加工・可視化・分析を行うことで役立ちます。
ビジネスの可能性を広げたい、データドリブンな経営を実現したいという企業様は、データ分析基盤の構築からスタートしましょう。
データ分析基盤の構築を検討している方は、株式会社ユニリタプラスへご相談ください。
企業様が抱える課題や目的に合わせて、最適な製品やサービスをご紹介いたします。
導入に際してのサポートはもちろん、業務改革や事業推進に関するコンサルティングサービスも行っております。
「どのようなサポートが受けられるのか聞きたい」、「データ分析基盤の構築費用が知りたい」など、まずはお気軽にご相談ください。
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