DXやデータ活用を推進する企業が増えた近年、「データガバナンス」への関心も高まっています。
データガバナンスとは、一体どのような取り組みなのでしょうか。また、組織にどのような影響をもたらすのでしょうか。
今回は、データガバナンスが必要とされている理由について解説します。
メリットや取り組みの手順、注意点やデータマネジメントとの違いなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「データガバナンス」とは?
データガバナンスという名称は知っていても、具体的にどのような取り組みを指すのかわからないという方もいるでしょう。
まずは、データガバナンスの概要と、多くの企業から必要とされている理由をご紹介します。
・データガバナンスについて ・データガバナンスが必要とされる理由 |
■データガバナンスについて
組織が抱えている膨大な量のデータ(ビッグデータ)を、安全かつ効果的にビジネスへ活用できるようにサポートする取り組みを「データガバナンス」といいます。
具体的には、データの収集や蓄積、分析や可視化などのデータマネジメントを行うため、組織全体に一貫した方針やプロセス、ルールや管理体制を定め、監視・評価する取り組みを指します。
データの品質やセキュリティを確保し、組織の迅速な意思決定や業務効率の向上に貢献することが、データガバナンスの大切な役割だといえるでしょう。
■データガバナンスが必要とされる理由
IT技術の進歩により、売上データや商談データ、顧客データや広告データなど、多種多様なデータを簡単に収集できる時代になりました。
企業がさらなる成長を目指し、ビジネスの価値を最大化するためには、データ利活用が欠かせません。
しかし、データを誤った方法で管理したり、運用したりすると、情報の漏洩や改ざん、システム停止などの深刻な問題が発生する可能性があります。
これらのセキュリティリスクを避けるためにも、データの取り扱い方法を定め、監視・評価するデータガバナンスが必要とされているのです。
データマネジメントやマスターデータ管理との違い
データガバナンスと混同されやすいのが、「データマネジメント」や「マスターデータ管理」です。
データマネジメントやマスターデータ管理とは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。詳しく解説します。
・データマネジメントとの違い ・マスターデータ管理との違い |
■データマネジメントとの違い
組織が抱えるデータをビジネスに活用するために、最適な形で管理・運用することを「データマネジメント」といいます。
単にデータを保有するだけでなく、いつでも利活用できる状態に整えておくという点が特徴です。
データガバナンスとデータマネジメント、それぞれの役割は以下の通りです。
・データガバナンス:データ管理・運用に関するポリシーを定める取り組み ・データマネジメント:データガバナンスに基づいて行われる実務的なデータ管理・運用 |
両者にはそれぞれ異なる役割があり、データマネジメントを安全かつ効率的に実施するために必要な取り組みが、データガバナンスです。
データガバナンスは、データマネジメントをサポートする役割を持つことから、両者は切り離せない関係にあります。
データマネジメントについて詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:データマネジメントとは?メリットや進め方、成功させるポイントや失敗の原因をご紹介
■マスターデータ管理との違い
ビジネスに活用するデータを組織内で統合し、品質を維持するための取り組みを「マスターデータ管理(MDM)」といいます。
データマネジメントの一環で、データの整合性を確保するために行われる取り組みです。
データの品質が低下してしまうと、正確な分析結果は得られません。
精度の高い分析を行ってビジネスに活用するためには、データを適切な形で管理・運用する必要があります。
データの正確性や安全性を保証して、現場担当者に提供することが、マスターデータ管理の大きな役割だといえるでしょう。

データガバナンスのメリット
データガバナンスの取り組みは、組織にさまざまな良い影響をもたらします。
データガバナンスを取り入れることで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。詳しく解説します。
①組織全体のデータリテラシーが向上する ②データの信頼性が高まる ③効率的かつ効果的にデータを利活用できる ④スピーディな意思決定が実現する ⑤コンプライアンスやセキュリティに関するリスクを抑えられる |
①組織全体のデータリテラシーが向上する
組織全体でデータガバナンスの取り組みを行うことで、データ利活用に関する共通理解が得られるというメリットがあります。
データガバナンスを通してデータ利活用への理解が深まり、組織全体のデータリテラシー向上が期待できます。
営業やマーケティング、経理などの各部門が、データガバナンスという共通の見解や言語で意思疎通できることから、データマネジメントに関するあらゆる取り組みを行いやすくなるという点は、大きなメリットだといえるでしょう。
②データの信頼性が高まる
データガバナンスに基づき、データを適切な形で管理・運用することで、データの信頼性が高まるという点もメリットの一つです。
データの取り扱いに関する共通理解が生まれることで、組織内外に散在するデータを統合しやすくなります。
各部署や各部門でサイロ化してしまっている分断されたデータを集約し、一貫性や正確性を確保することで、データの品質が向上します。
より精度の高い分析が実現することで、ビジネスへのデータ利活用が促進されるでしょう。
③効率的かつ効果的にデータを利活用できる
データガバナンスという共通理解が生まれることで、従来よりも効率的かつ効果的にデータ利活用できるという点も大きなメリットの一つです。
データガバナンスを導入すると、データマネジメントを実施するためのポリシーを明確に設定できます。
また、データマネジメントの取り組みを監視できるため、余分な作業や誤ったデータを排除し、低コストで効率的にデータ利活用を実現できます。
④スピーディな意思決定が実現する
効率的かつ効果的なデータ利活用が実現すると、スピーディな意思決定にもつながります。
需要予測や市場分析など、データ分析の結果を迅速に確認できるため、移り変わりの激しい市場の変化にも対応できます。
市場において優位性を確立できれば、売上増大やシェア獲得など、ビジネスのさらなる成長が期待できるでしょう。
⑤コンプライアンスやセキュリティに関するリスクを抑えられる
データガバナンスを導入することで、コンプライアンスやセキュリティに関するリスクを低減できます。
データの閲覧や編集が行える従業員に制限を設けたり、重要なデータを取り扱う部署を限定したりと、データの取り扱いに関するポリシーを明確に設定し、監視することができます。
そのため、情報の漏洩や改ざん、データの不正利用など、コンプライアンス違反やセキュリティトラブルを抑制し、問題が起こった場合にも早急に対処できるという点は、大きなメリットだといえるでしょう。
\データマネジメントの導入を目指すならこちらもチェック/
データガバナンスの取り組み手順
組織全体でデータガバナンスを推進しようと思っても、何から手をつければ良いのがわからないという方もいるかもしれません。
データガバナンスの重要性は理解しているものの、どのように導入すれば良いのかわからないという方に向けて、具体的な手順をご紹介します。
【手順①】現状の課題と目的を明確化する 【手順②】人員を割り当て組織設計を行う 【手順③】ガイドラインを作成して周知する 【手順④】データガバナンスの実施と改善 |
【手順①】現状の課題と目的を明確化する
データガバナンスを導入する際には、現状の課題を洗い出し、目的を明確に設定することが大切です。
具体的には、以下の2点を明確化しておきましょう。
・何のためにデータマネジメントを実施するのか ・データマネジメントの実施後、どのようにデータを活用するのか |
データガバナンスを導入する理由は、課題解決を目指しているからです。
闇雲に導入しても意味がないので、まずは組織内のデータ管理の現状から課題を洗い出しましょう。
「スピーディな意思決定を実現したい」、「セキュリティリスクを抑えたい」など、具体的に目的を設定しておいてください。
【手順②】人員を割り当て組織設計を行う
目的を明確に設定したら、次に、人員を割り当てて組織設計を行います。
データマネジメントを実施するチームとは別に、データガバナンス専門のチームを結成しましょう。
導入したデータガバナンスを運用したり、改善したりするためには、データの取り扱いを監視する担当者が必要です。
データ管理やセキュリティリスクに詳しい人材を集めて、データガバナンスの担当者として配置してください。
【手順③】ガイドラインを作成して周知する
組織設計が完了したら、ガイドラインを作成して全部署・全部門に周知を行います。
データガバナンスの導入について周知するだけでは、具体的にどのように変化するのかわかりにくいです。
管理方法や運用方法、コンプライアンスやプライバシーポリシーなど、データの取り扱いに関する方針やルールを詳細化して、ガイドラインを作成しておきましょう。
誰が見ても理解しやすいように、ガイドラインの内容は簡潔にまとめることが大切です。
【手順④】データガバナンスの実施と改善
組織全体への周知を行ったら、いよいよデータガバナンスを実施します。
データガバナンスの取り組みは、一度実施して完了ではなく、継続的に行われます。
運用する中で問題が発生すればその都度改善を行い、データガバナンスの内容を組織に適した形に整えましょう。

データドリブン経営について詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:データドリブン経営とは?注目される理由やメリット、成功させるためのポイントについて解説
データガバナンスの注意点
データガバナンスを導入する上で、注意すべきポイントがいくつか存在します。
動き出してから後悔することがないように、事前にしっかりと注意点を把握しておきましょう。
・スモールスタートで始める ・データガバナンスの導入を目的にしない |
■スモールスタートで始める
データガバナンスを導入する際には、「スモールスタート」を目指しましょう。
データの取り扱いに関して、組織内にルールやペナルティを周知していたとしても、部署によって理解度や実施率は異なります。
業務に支障が出て、従業員の中から反発が起こる可能性もあるので、小規模からスタートすることが大切です。
初めは特定のチームや特定の部署だけに導入して、改善を重ねながら少しずつ組織全体に浸透させると良いでしょう。
■データガバナンスの導入を目的にしない
DX推進やデータ利活用を目指していると、データガバナンスの導入が目的になってしまうという点には注意が必要です。
データガバナンスは、あくまで組織内でデータを適切な形で活用し、ビジネスの価値を最大化するための「手段」に過ぎません。
目的は導入ではなく、「データ活用によってビジネスの新たな価値を創造する」という点にあることを忘れないようにしましょう。
導入の前に目的を明確に設定して、担当者をはじめとした組織全体に周知しておくことが大切です。
データマネジメントはBIツールで実現!
データガバナンスを導入し、データマネジメントを実施するために欠かせないのが「BIツール」です。
BI(Business Intelligence)ツールとは、組織に蓄積された膨大な量のデータを収集・分析し、グラフや表などを用いて可視化するソフトウェアを指します。
データの管理から運用までの作業を自力で行おうとすると、多くの工数がかかり、従業員に多大な負担がかかります。
また、専門的なスキルを有した人材が必要となるため、一般的な企業が、すぐにデータガバナンスの導入やデータマネジメントを実施することは難しいといえるでしょう。
BIツールは、データの収集からレポート作成までのデータマネジメントにおける一連の作業を、直感的な操作で簡単に行えるように設計されています。
特別なスキルがなくとも扱えるので、DXやデータ活用の促進を目指している企業におすすめです。
\実際の導入事例を無料でダウンロード/
まとめ
データを適切な形で管理し、効果的にデータ利活用を行うためには、データガバナンスが欠かせません。
データの品質とセキュリティを確保し、ビジネスの価値を最大化するためにも、データガバナンスの導入を目指しましょう。
BIツールの導入を検討している方は、株式会社ユニリタプラスへご相談ください。
企業様が抱える課題や目的に合わせて、最適な製品やサービスをご提供いたします。
導入に際してのサポートはもちろん、業務改革や事業推進に関するコンサルティングサービスも行っております。
「自社に必要なBIツールがわからない」、「BIツールの導入費用を知りたい」など、まずはお気軽にご相談ください。
\無料で相談!お問い合わせはこちら/