変化が著しい近年の企業経営では、迅速な判断や対応が求められます。
そこで、今注目されているのが「経営ダッシュボード」です。
経営ダッシュボードを導入することで、企業経営にどのような形で役に立つのでしょうか。また、どのようなポイントに注意して導入すれば良いのでしょうか。
今回は、経営ダッシュボードのメリットについて解説します。
作成の手順やポイント、注意点やおすすめの導入方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「経営ダッシュボード」とは
企業経営に役立つデータ活用方法として「経営ダッシュボード」が注目されています。
しかし、名前は聞いたことがあっても、具体的な特徴はわからないという方もいるのではないでしょうか。
まずは経営ダッシュボードの特徴と、導入することで期待できる効果をご紹介します。
・経営ダッシュボードの特徴 ・経営ダッシュボードに期待できる効果 |
■経営ダッシュボードの特徴
組織が抱える膨大な量のデータを集約し、視覚的にわかりやすい形で可視化できるツールが「経営ダッシュボード」です。
集約するデータの種類は多岐にわたり、販売やマーケティング、人事や財務など、企業運営におけるさまざまなシーンで活用できます。
売上データや顧客データ、市場の動向などの情報をリアルタイムで確認できることから、迅速な意思決定が実現するでしょう。
また、データの集約や可視化をシステムが自動的に行ってくれるため、業務効率化にもつながります。
経営ダッシュボードは、データドリブンな企業経営を目指す上で、欠かせないツールだといえるでしょう。
■経営ダッシュボードに期待できる効果
経営ダッシュボードを作成することで、組織の現状をリアルタイムで把握できるようになります。
システムが異なるデータも一元管理できることから、必要な情報をいつでも最新の状態で確認できるのです。
経営ダッシュボードを活用すれば、組織が抱える課題や問題点にいち早く気付けるでしょう。
また、組織内の連携を強化できるという点も大きな魅力だといえます。
データの集約や共有のために、逐一部門間で連絡を取り合う必要がないことから、さまざまな取り組みがスムーズに行えます。

経営ダッシュボードを作成するメリット
特徴については理解したものの、具体的なメリットがイメージできないという方もいるかもしれません。
経営ダッシュボードを作成することで、経営や業務にどのような良い影響がもたらされるのでしょうか。詳しく解説します。
①ビッグデータを有効活用できる ②スピーディーな意思決定が実現できる ③リアルタイムで情報を共有できる ④KPIを追跡・可視化できる ⑤レポート作成の工数を削減できる |
①ビッグデータを有効活用できる
経営ダッシュボードを作成するメリットの一つは、ビッグデータを有効活用できるという点です。
デジタル化が進む近年、企業は業務や顧客、市場に関する多種多様なデータを容易に収集できるようになりました。
しかし、形式の異なるデータを抱えているだけでは活用できません。
経営ダッシュボードで膨大な量のデータを統合し、分析することで初めて有効活用できるのです。
ビッグデータを活用することで、組織が抱える課題や、ビジネスの新たな可能性の発見につながるでしょう。
ビッグデータ活用についてさらに詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:ビッグデータとは?データ分析・活用を行うメリットや注意点、身近な事例をご紹介
②スピーディーな意思決定が実現できる
スピーディーな意思決定が実現するという点も、経営ダッシュボードを作成するメリットの一つです。
市場の移り変わりが激しく、顧客動向も多様化している近年、企業には迅速な意思決定が求められます。
担当者が個別にデータを集計して報告するという従来の体制のままでは、情報の更新に時間がかかり、経営判断や業務遂行に遅れが生じやすいといえるでしょう。
経営ダッシュボードを作成すると、データがリアルタイムで更新されるため、必要な情報を常に最新の状態で確認できます。
また、視覚的に理解しやすい形で表示されることから、スピーディーな意思決定が実現します。
③リアルタイムで情報を共有できる
組織内で情報をリアルタイム共有できるという点も、経営ダッシュボードを作成するメリットの一つです。
リアルタイムの情報を共有することで、経営陣が迅速な判断を行えることはもちろん、従業員の業務効率化にもつながります。
データ共有のために部門間で逐一連絡を取り合う必要がないことから、スムーズに業務を遂行できるでしょう。
また、情報を可視化して共有すれば、従業員同士のコミュニケーションも促進されます。
部門間の連携が強化されて、組織のさらなる成長が期待できます。
④KPIを追跡・可視化できる
経営ダッシュボードを作成することで、KPI(重要業績評価指標)を追跡・可視化できるという点も大きなメリットだといえるでしょう。
ビジネスの成果を把握するためには、売上高や利益率、生産性などのKPIを追跡する必要があります。
目標設定や課題発見、施策立案などにつなげるためにも、KPIは常に最新の状態で追跡しなければなりません。
経営ダッシュボードを作成すれば、KPIがリアルタイムで反映される上に、視覚的にわかりやすい形で可視化できるので、容易に追跡できます。
⑤レポート作成の工数を削減できる
レポートの作成にかかる工数を削減できるという点も、経営ダッシュボードを作成するメリットの一つです。
データを自動的に集約し、分析・可視化できることから、レポートの作成も効率的に行えます。
これまで手作業でレポートを作成していたという企業の場合は、作業が効率化することで、従業員がより重要なコア業務に集中できます。
また、業務が効率化することで、生産性向上や従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。

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経営ダッシュボードを作成するポイント
スムーズに導入するためには、作成のポイントを押さえておく必要があります。
経営ダッシュボードの作成に際して、チェックしておきたいポイントをいくつかご紹介します。
・必要な情報が網羅されているか ・視覚的にわかりやすく可視化されているか ・リアルタイムで集計・更新されているか |
■必要な情報が網羅されているか
経営ダッシュボードを作成する際には、企業経営に必要な情報が網羅されているか確認しておく必要があります。
売上データや顧客情報、市場分析など、必要な情報が揃っていないと、高度な分析は行えません。
分析を行っても信頼性に欠ける結果となってしまうので、事前に必要な情報が揃っているか、よく確認しておきましょう。
情報は、量が多ければ良いというわけではありません。
不要な情報が紛れていると正確な結果が得られなくなってしまうので、データを取捨選択することも大切です。
■視覚的にわかりやすく可視化されているか
迅速な意思決定を実現するためにも、経営ダッシュボードは視覚的にわかりやすく可視化させることが重要です。
データの内容が複雑であるほど、理解するまでに時間がかかります。
誰が見ても直感的に内容を理解できるように、レイアウトを工夫しましょう。
全ての利用者が容易に解釈できるように可視化することで、組織内の連携を強化できます。
色使いやフォント、配置などの表現方法に注意して、データを簡潔かつ明確に提示できるか確認しておきましょう。
■リアルタイムで集計・更新されているか
経営判断を迅速化したい場合は、リアルタイムで情報が更新されるか確認しておくことが重要です。
データの更新に遅れが生じると、状況の変化に気付けず、正しい判断が下せない可能性があります。
経営ダッシュボードを作成する際には、データが常に最新の状態で集計・更新されているかよく確認しておきましょう。
リアルタイム更新を実現することで、ビジネスの変化にいち早く対応して競争優位を維持できます。
経営ダッシュボードの作成手順
スムーズに導入するためにも、ポイントと併せて作成の手順もしっかりと把握しておきましょう。
経営ダッシュボードは、どのような流れで作成すれば良いのでしょうか。詳しく解説します。
【手順①】作成目的を明確に設定する 【手順②】必要な指標を決めてデータを収集する 【手順③】レイアウトを設計する 【手順④】可視化の方法を選択する |
【手順①】作成目的を明確に設定する
経営ダッシュボードを作成する前に、目的を明確に設定しておきましょう。
作成後にはどのように役立てたいのか、目的によって収集すべきデータやシステムの仕様は異なります。
目的が曖昧なままではスムーズに作成できないので、しっかりと方向性を決めておくことが大切です。
誰が、何のために経営ダッシュボードを活用するのかを明確にした上で、課題や目的に合わせて作成しましょう。
【手順②】必要な指標を決めてデータを収集する
経営ダッシュボードを作成する際には、目的に合わせて必要となるデータを収集しておく必要があります。
KPIを追跡できるという点が経営ダッシュボードのメリットですが、KPIにもさまざまな種類が存在します。
例えば、売上状況を把握したい場合は、目標の達成率や地域別・顧客別・製品別の売上データなどの指標が必要です。
必要な指標が決まったら、組織内のシステムや外部のデータソースからデータを取得して、クレンジングや統合を行いましょう。
【手順③】レイアウトを設計する
必要なデータが揃ったら、次に、データをどのように可視化するのか決めて、経営ダッシュボードのレイアウトを設計します。
迅速な意思決定を実現するためにも、レイアウトは誰が見ても直感的に理解しやすいデザインでなければなりません。
一目で重要な情報を捉えられるように、データを表示する位置はもちろん、色使いやフォントにも工夫が必要です。
重要度の高い情報はすぐに確認できるよう上部に配置して、視覚的に疲れないデザインで統一することが大切です。
【手順④】可視化の方法を選択する
レイアウトを設計したら、指標を表示するグラフの形式や配色などの表現方法を選択しましょう。
選択すべきグラフは、表示したいデータの種類によって異なります。
一つの指標を時間経過で追う場合は、「折れ線グラフ」が最適だといえるでしょう。
しかし、カテゴリー間で比較を行いたい場合は、「円グラフ」が最適だといえます。
このように視覚的に捉えやすい表現方法は異なるので、内容を正確に伝えるためにも、データの種類に合わせて適切なグラフを選択することが大切です。
経営ダッシュボードを作成する際の注意点
作成後に後悔しないためにも、ポイントや手順だけでなく、注意点についても把握しておく必要があります。
企業経営に役立つように、作成に際して注意しておきたい点をいくつかご紹介します。
・重要度の高い情報を優先的に表示する ・導入を目的とせずに適宜改善を行う ・技術者を確保する |
■重要度の高い情報を優先的に表示する
複数のKPIを表示する場合は、重要度の高い情報を優先するように設定することが大切です。
不要な情報を表示してしまうと、精査に時間がかかったり、判断に遅れが生じたりする可能性があります。
そのため、売上成長率や顧客満足度など、ビジネスの目標達成に与える影響が大きいKPIに焦点を当てて、優先的に表示させる必要があるのです。
優先度が不明である場合は、経営ダッシュボードの作成を機に優先順位を見直しましょう。
■導入を目的とせずに適宜改善を行う
経営ダッシュボードを作成し、運用を開始したら、放置せずに適宜改善を行いましょう。
組織がデータドリブン経営を目指している場合、システムやサービスの導入が目的となってしまい、運用開始後に放置してしまうケースが少なくありません。
あくまで導入は問題解決や意思決定を行うための一歩に過ぎず、最終目的ではないということを心に留めておくことが大切です。
経営ダッシュボードは、継続的にデータ分析を行い、適宜改善を行うことで真価を発揮します。
組織の成長や経営状況を見ながら活用方法や効果を定期的に評価し、必要に応じて調整を行いましょう。
■技術者を確保する
経営ダッシュボードを導入したり、運用の中で適宜改善を行ったりするためには、技術者を確保する必要があります。
膨大な量のデータを収集して、高度な分析が行えるという点が経営ダッシュボードの魅力ですが、取り扱いには専門的な知識やスキルが求められます。
コーディングやプログラミングなどの技術が必要となることから、専門性の高い人材の確保は必須だといえるでしょう。

経営ダッシュボードを作成するなら「BIツール」がおすすめ!
Excelのようなツールでも経営ダッシュボードを作成できますが、より効率的に作成するには「BIツール」を用いる方法が一般的です。
BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)とは、組織が抱える多種多様なデータを分析することで、得られた知見をビジネスに活かすためのツールを指します。
BIツールを用いることで、経営ダッシュボードの作成の手間を軽減できるというメリットがあります。
また、データ連携が容易で、表やグラフを用いてわかりやすく可視化できるという点も大きな魅力だといえるでしょう。
近年は、データサイエンティストやデータアナリストなどの特別な資格を有した技術者でなくとも、直感的に操作できるBIツールが増えています。
経営ダッシュボードの作成だけでなく、業務効率化やペーパーレス化など、データ活用によってさまざまな課題の解決を目指したいという方は、ぜひBIツールの導入を検討してください。
BIツールについてさらに詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
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まとめ
組織に散在したデータを素早く収集して、直感的にわかりやすく可視化できるという点が経営ダッシュボードの魅力です。
BIツールを利用すれば、特別な知識やスキルがなくともデータ活用が行えます。
必要な情報を探し出すのに時間がかかる、データ活用を目指しているものの何から手をつければ良いのかわからないという方は、経営ダッシュボードの導入を検討しましょう。
BIツールの選び方がわからない、導入方法がわからないなど、お悩みを抱えている企業様は株式会社ユニリタプラスへご相談ください。
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BIツールの導入に際するサポートはもちろん、コンサルティングサービスも行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。
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