業務の属人化を防ぎ、引継ぎをスムーズにするために必要なのが『業務フロー』です。
業務フロー図を作成することで、上記の他にも業務改善や効率化につながるなど、さまざまなメリットが得られます。
今回は、業務フローを取り入れたいという方に向けて、わかりやすい書き方をご紹介します。
業務フローを作成するメリットや注意点、よく使用される図形についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
業務フローとは?
そもそも業務フローとは、どのような図を指すのでしょうか。
まずは業務フローを作成する目的や、ワークフローとの違いを理解しておきましょう。
・業務フローを作成する目的 ・業務フローとワークフローの違い |
■業務フローを作成する目的
業務の流れや内容を図という形で可視化して、業務内容を把握したり、共有したりする方法を『業務フロー』といいます。
業務フローを作成することで、現在抱えている業務上の課題を発見し、解決策を検討するといった方法で経営に役立てることができます。
また、入社したばかりの業務知識がない新入社員に対しても、わかりやすく説明できるという点は大きなメリットだといえるでしょう。
通常の業務から外れた事象が発生した際に、迅速に対応するために業務フローを活用するというケースもあります。
データ可視化について詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:データ可視化とは?必要性やメリット、具体的な方法や流れをわかりやすく解説
■業務フローとワークフローの違い
業務フローと似た名称で混同されがちなのが、『ワークフロー』です。
両者の違いを簡単に説明すると、以下の通りです。
・業務フロー:業務の流れや内容を可視化するために作成する図 ・ワークフロー:作業をデジタル化(自動化)するために、業務フローをITシステム上に落とし込んだもの |
業務フローは、業務全体のプロセスを俯瞰して、経営戦略や経営判断に役立てるために作成されます。
一方、ワークフローは、具体的な作業手順やタスクの流れをシステムに落とし込むことで、業務プロセスの改善や効率化を実現するために用いられます。

業務フローで全体像を整理し、ワークフローで具体的な作業手順の改善や効率化を目指すと考えるとわかりやすいでしょう。
ワークフローの実現には業務フローが必要であり、両者は切り離せない関係だといえます。
業務フローの書き方
わかりやすい業務フローを作成するためには、正しい作成手順を把握しておく必要があります。
どのような手順で作成すれば、誰の目に見てもわかりやすい図が完成するのでしょうか。
業務フローの正しい書き方をご紹介します。
①目的を明確に設定する ②関係者を洗い出す ③タスクを洗い出す ④時系列を整理して並べる |
①目的を明確に設定する
図の作成を行う前に、まずは明確な目的を設定しておく必要があります。
業務の流れを整理したい、作業ミスを減らしたい、スムーズに引継ぎを行いたいなど、「何のために業務フローを作成するのか」を決めておきましょう。
また、業務フロー作成の担当者や、提示する相手(チームメンバーや後任者など)を決めておくことも大切です。
目的が曖昧なまま図の作成を開始してしまうと、情報が不足してしまったり、不必要な情報が混ざったりする可能性があります。
後に続く作業をスムーズに行うためにも、初めの段階でしっかりと目的を設定しておきましょう。
②関係者を洗い出す
目的を設定したら、次に、業務フローに関わる全ての関係者を洗い出します。
業務フロー図は、主に以下の3つで構成されます。
・各担当者の業務 ・担当者間の連携 ・関係者の関与 |
業務に関わる部署や担当者はもちろん、社外の関係者についても把握しておく必要があります。
クライアントとの連携が必要な場合や、業務の一部を業務委託している場合などは、社外の関係者も忘れずにリストアップしておくことが大切です。
③タスクを洗い出す
関係者のリストアップが完了したら、次に、担当者から業務内容をヒアリングしてタスクを洗い出します。
実際に行う作業や処理の内容を、可能な限り詳細に聞き出して一覧にまとめましょう。
業務内容やプロセス、業務を行う場所やタイミング、使用するアイテムや業務の遂行過程で関わる人物などの情報が該当します。
業務を遂行する過程で条件分岐が発生する場合は、「Aパターン」と「Bパターン」といった具合に、条件によって業務がどのように変化するのか明記しておくことも大切です。
万が一の事態に備えて、例外的な処理も行えるように備えておきましょう。
④時系列を整理して並べる
タスクの洗い出しが完了したら、次に、タスクを整理して時系列順に並べます。
タスクを集めただけでは流れがわからないので、どのような順番で遂行すれば良いのかを明確にするために、スイムレーン(プロセスの開始から終了までの流れを専用レーンで仕切る可視化表現手法)に割り振ります。
あくまで業務の流れを明確にするための作業であるため、美しく整列させる必要はありません。

スイムレーンへの割り振りが完了したら、いよいよ業務フロー図の作成に取りかかります。
整理した内容をExcelやシステム・ツールに落とし込んで、誰の目に見てもわかりやすい業務フロー図を完成させましょう。
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業務フローでよく使用される図形
基本的に業務フロー図では、主に以下の4つの記号が使用されます。
他にもいくつか使用できる記号は存在しますが、複数の記号を使用してしまうと理解に時間がかかります。
誰の目に見てもわかりやすいように、シンプルな形のフロー図を作成することを目指しましょう。
業務フローを作成するメリット
業務フローに興味があるけれど、どのように活用すれば良いのかわからないという方もいるかもしれません。
フロー図を作成することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
近年、業務フローが注目されている主な理由をご紹介します。
・業務の全体像を把握できる ・業務の属人化を防止できる ・業務改善や業務効率化に役立つ |
■業務の全体像を把握できる
業務プロセスや関係する人物を一目で理解できる業務フロー図には、業務の全体像を把握できるというメリットがあります。
まだ仕事に慣れていない従業員はもちろん、上層部にとっても、人員配置を考えたり、業務効率の最適化を図ったりする際などに役立つでしょう。
業務の内容やプロセスが複雑であればあるほど、フロー図のメリットを享受しやすいといえます。
簡単な記号と図形で記されていて視覚的にイメージしやすいことから、新人教育や後任への引継ぎの際にも役立ちます。
■業務の属人化を防止できる
業務の属人化を防げるという点も、業務フロー図を作成するメリットの一つです。
属人化の主な原因は、業務の内容やプロセスが可視化されていないことで起こります。
担当者が休みを取ったり、離職してしまったりしたときに、代わりに対応できる従業員がいないと、業務の遂行が難しくなってしまいます。
業務の全体像を把握できていない、担当者に一任してしまっているという企業は、フロー図を活用しましょう。
■業務改善や業務効率化に役立つ
業務改善や効率化に役立つという点もまた、業務フロー図を活用するメリットだといえるでしょう。
現状を分析して課題を発見し、解決策を講じることで、業務改善や効率化が実現します。
業務の全体像が把握できなければ課題を見つけることは難しいので、まずはフロー図の作成から着手すると良いでしょう。
全体像から改善できそうなポイントを見つけ出して、効率化を目指しましょう。
定期的に業務フロー図を見直せば、業務の質が向上したり、生産性が向上したりする効果も期待できます。
業務効率化についてさらに詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:業務効率化とは?重要性やメリット、進め方や成功させるポイントについて解説
業務フロー作成のポイントと注意点
業務改善や効率化に役立つ業務フローですが、書き方が曖昧であったり、人によって違っていたりすると、活用が難しくなってしまいます。
誰の目に見てもわかりやすいように、作成のポイントと注意点を押さえておきましょう。
・表記ルールを決めておく ・基本的な記号のみ使用する ・1枚のシートに簡潔にまとめる ・補足資料を紐づけて活用する |
■表記ルールを決めておく
業務フローを作成する際には、事前に表記ルールを決めておきましょう。
業務フロー図は、作成すること自体が目的ではなく、関係各所に共有することが目的で作成されます。
ルールが統一されないまま担当者ごとに自由に作成してしまうと、組織内に混乱が生まれます。
誰が見ても一目で理解できるように、表記ルールを統一して、明文化しておくことが大切です。
■基本的な記号のみ使用する
表記ルールと同様に、使用する記号についてもルールを統一しておきましょう。
業務フロー図に使用できる記号は複数種類存在しますが、専門性の高い記号を使用してしまうと、理解できない従業員が出てきてしまいます。
フロー図に使用する記号は、基本となる3~4種類程度が最適だと考えられています。
上記でご紹介した「楕円」や「四角」、「ひし形」などの記号を参考に、種類を厳選して使用してください。
■1枚のシートに簡潔にまとめる
業務の全体像を一目で把握できるように、業務フロー図は1枚のシートに収まるように、簡潔にまとめましょう。
詳細を記すことも大切ですが、文字量が多くなると、理解するまでに時間を要します。
業務フローは、あくまで「業務の全体像をわかりやすく可視化するための図」であることから、見やすいものでなければ意味がありません。
特記事項や注意書きが多く、文字量を減らすことが難しい場合は、別紙にまとめるといった工夫が必要です。
■開始・終了を明確にする
業務フロー図を作成する上で、開始・終了を明確に記すと視覚的にわかりやすくなります。
開始・終了の位置を探すのに時間がかかると、業務の流れを把握することが難しくなります。
スタートからゴールまでの流れを追いやすいように、開始・終了の図形だけデザインを変えたり、色付けを行ったりすると良いでしょう。
「一つの図につき、開始・終了は一つずつ」と、ルールを設定しておくことも大切です。
■補足資料を紐づけて活用する
特記事項や注意書きが多く、別紙にまとめる場合は「補足資料」として業務フロー図と紐づけておきましょう。
図の中に「補足有り」と記した上で、どの資料を参照すれば内容を確認できるのか、明示する必要があります。
フロー図を共有する際には、忘れずに補足資料と一緒に提出してください。
業務フローに関するよくある質問
業務フローの正しい書き方については理解したものの、まだ不安や疑問が残っているという方もいるでしょう。
最後に、業務フローに関するよくある質問をご紹介します。
日頃の業務をスムーズに行うためにも、不安点や疑問点を解消しておきましょう。
Q1.明確な業務手順がない場合でも業務フローを作った方が良い?
A. 業務フロー図を作成する前に、まずは業務内容を整理しましょう。
業務内容が不明瞭なまま図の作成を始めても、手詰まりになってしまいます。
まずは普段行っている業務を、文字で紙に書き出してみましょう。
順序や内容を確認して、イメージを固めてからフロー図を作成することをおすすめします。
Q2.業務フローの作成に役立つのはWordとExcelどっち?
A. Wordでも作成できますが、おすすめなのは『Excel』や『PowerPoint』です。
Wordは文章作成に向いていますが、図の作成には向いていません。
操作でつまずかないように、あらかじめ図の作成に適しているExcelやPowerPointを選んでおくと安心です。
ExcelやPowerPointの操作に自信がない、誰もが簡単に業務フロー図を作成できる体制を整えたいという場合には、『フローチャート作成ツール』を導入すると良いでしょう。
業務フロー図の作成には『フローチャート作成ツール』を活用!
ExcelやPowerPointの操作に慣れていない、直感的に業務フロー図を作成したいという方におすすめなのが『フローチャート作成ツール』です。
フロー図のテンプレートや頻繁に使用する記号があらかじめ用意されているので、一から作成する必要はありません。
また、直感的な操作で作成できるため、パソコンでの作業が苦手だという方でも、簡単にわかりやすいフロー図を作成できます。

データ分析やレポート作成を目的としたBIツールにも、フローチャートの作成機能が搭載されているケースもあります。
業務フローの作成だけが目的ではなく、組織全体で大規模な業務改善・業務効率化を目指しているという場合には、BIツールの導入を検討しましょう。
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まとめ
仕事に業務フローを取り入れることで、日頃行っている業務内容を可視化できます。
誰の目に見てもわかりやすい図を作成して、業務改善や効率化、属人化の防止などに役立てましょう。
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