分野を問わず、多くの業務で必要となる作業が「データ入力」です。
決まった文字や数字をパソコンに打ち込むという単純な作業ではありますが、正確さが求められる上に、データの量が多いほどに膨大な時間を要します。
データ入力の作業が負担となって他の業務に支障をきたしているという場合には、自動化を目指しましょう。
今回は、データ入力を自動化するメリットや具体的な方法、おすすめのツールをご紹介します。
導入のポイントや流れについても解説しますので、「業務負担を減らしたい」、「業務効率化を目指したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
データ入力業務における課題
データ入力の作業負担が大きくなると、どのような問題が発生するのでしょうか。
多くの企業が、データ入力の自動化を必要としている理由をご紹介します。
■生産性が低くなる
膨大な量のデータを手入力で打ち込むと、時間や手間がかかります。
作業自体の難易度は低いものの、データ入力業務を全て手動で行うとなると多くの工数や人手が必要となるため、生産性が下がってしまう可能性があります。
また、単調な作業を嫌う人が担当者になった場合は、ストレスが溜まったり、モチベーションが下がったりする懸念もあるでしょう。
データ入力業務自体の生産性が下がることはもちろん、迅速な意思決定が難しくなり、他の業務にも悪い影響を及ぼす可能性があります。
■ヒューマンエラーが発生しやすい
一つ一つの情報を手作業でパソコンに打ち込むと、タイピングミスが起こったり、誤った情報を入力してしまったりする可能性があります。
どんなに優秀な担当者が作業を行ったとしても、単調な作業が続くとヒューマンエラーが発生しやすくなります。
その日の体調や環境によっても作業の精度は異なるため、人的ミスを完全に防ぐことは難しいといえるでしょう。
ミスが起こった場合は、データ入力業務に加えて、修正のための時間や手間もかかります。
修正で対応できれば良いものの、ミスに気付かないままデータ利活用を行ってしまうと、他の業務に支障をきたしたり、大きな問題に繋がったりする可能性もあります。
■担当者によって処理能力が異なる
タイピングの速度や情報の理解度など、担当者によって処理能力は異なります。
データ入力業務に慣れている担当者と不慣れな担当者では、同じ量の情報を扱っても、作業完了までにかかる工数には大きな差があります。
担当者によってパフォーマンスにムラが生じると、特定の従業員に作業負担が集中したり、業務に遅れが出たりするでしょう。
作業が属人的になってしまうと、処理能力の高い担当者が休みを取ったり、退職したりした場合、業務が進まなくなる可能性もあります。
データ入力の自動化が求められる業務
職種によって様々な業務が存在しますが、データ入力の自動化が求められるのは、どのような業務なのでしょうか。
一般的な企業の中で、自動化によって恩恵を受けられる可能性が高い業務を4つご紹介します。
①営業 |
②経理 |
③人事総務 |
④EC運営 |
①営業
顧客対応が多い営業職ですが、データ入力が必要な業務も存在します。
顧客からもらった名刺の登録や納品書・請求書の作成、見積もり書・発注書の作成などが、主なデータ入力業務です。
資料作成のように複雑な作業を自動化することは難しいものの、定型業務であれば自動化することが可能です。
単純な作業を自動化することで営業活動に集中できるため、より多くの顧客を獲得することに繋がります。
生産性の向上や売上の向上が期待できるので、定型業務は自動化を目指しましょう。
②経理
データ入力を自動化することで最も恩恵を受けられる業務が、経理です。
経理では、伝票や請求書といった膨大な量のデータ入力作業が発生します。
給与計算や決算書の作成、帳票の作成など、営業職と同様に定型業務が複数存在します。
経理に関する業務はある程度進め方が決まっているため、自動化の手法やツールと相性が良く、流れさえ作ってしまえば工数を大幅に削減できるでしょう。
同じ作業や単調な作業の繰り返しはヒューマンエラーを招きやすいので、ミスを防止するという面でも自動化がおすすめです。
③人事総務
勤怠データの入力や採用活動のためのメール作成などを行う人事総務もまた、データ入力の自動化によって恩恵を受けられる業務の一つです。
人事総務における業務では、給与を算出するための勤怠データや採用に関するメールを送付するため、作業工数がかかって業務効率が下がるというだけでなく、入力ミスによってトラブルが発生する可能性もあります。
説明会の案内メールや書類選考の結果通知、採用試験の採点や面接の結果通知など、ミスが許されない情報を取り扱う際には、入力作業を自動化しておくと良いでしょう。
リスク回避が行えるという点も、データ入力自動化のメリットだといえます。
④EC運営
ECサイトを運営していると、膨大な量の顧客データや在庫データを管理しなければなりません。
サイトの規模が大きく、顧客数が多いほど、データ入力の作業負担も重くなります。
人手不足やヒューマンエラーに悩まされているという企業は、データ入力自動化を目指しましょう。
自動化を行うことで、顧客に対して誤った情報を送付することが防げます。また、問い合わせに対しても、迅速に適切な対応が行えます。
データ管理が行えるツールを導入すれば、在庫管理や発注作業といった入力作業以外の業務も任せられるので、空いた工数をマーケティングやプロモーションなどの他の業務に割り当てることができます。
顧客データの活用方法について知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:顧客データの活用方法とは?効果的なデータの分析方法や注意点、活用事例をご紹介
データ入力業務を自動化するメリット
自動化を実現することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
データ入力自動化が業務に与える影響について、解説します。
■作業効率が向上する
データ入力業務を自動化することで作業効率が向上し、従業員の工数削減が期待できます。
単純な作業を自動化すると人手不足の解消に繋がる上に、優秀な人材に生産性の高い複雑な業務を任せることもできるでしょう。
従業員全員がデータ入力以外の業務に集中できるようになり、社内全体のモチベーションも向上します。
人間よりも効率的にデータ入力が行えるので、情報処理のスピードが速くなり、迅速に意思決定が行えるという点も大きなメリットだといえます。
■ミスを防止できる
手作業によるデータ入力ではヒューマンエラーが発生するという点が課題でしたが、ツールを導入することでミスなく正確に入力することができます。
タイピングミスや誤った情報の入力を防げるので、データの信頼性が向上するでしょう。
入力した情報をチェックする時間や手間も省けるため、業務効率化にも繋がります。
また、「ミスを起こしてはいけない」というプレッシャーから解放されることから、従業員の精神的な負担も軽減できます。
ツールを過信してはいけませんが、人的ミスを防げるという点もデータ入力自動化のメリットの一つだといえるでしょう。
■人件費を削減できる
作業をツールに任せることで、多くの人員をデータ入力業務に割く必要がなくなります。
自動的にデータ入力が行われる仕組みさえ用意すれば業務時間外であっても稼働してくれるので、24時間365日作業を行えます。
休日や夜中でも作業を継続できるという点も、データ入力業務を自動化するメリットの一つだといえるでしょう。
人の手で行うよりもスピーディーに処理が行えることから、人件費の削減にも繋がります。
ツールの導入にも費用はかかりますが、同じ量の作業を人の手で行うよりも安価に済みます。
データ入力業務はBIツールにお任せ!
企業が持つデータを分析・可視化して業務に役立てるソフトウェアを『BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)』といいます。
既存業務で使用しているデータを自動的に入力して集計できることはもちろん、情報の分析や可視化を行うことで「データ利活用」にも役立ちます。
膨大な量のデータから有益な知見を得ることで、組織が抱えている課題を解決したり、ビジネスの新たな可能性を見出したりすることにも繋がるでしょう。
実際にデータ入力業務の自動化を実現している企業の多くは、BIツールを導入しています。
データ入力業務の自動化を目指しているものの、どのような形で取り組めば良いのかわからないという方は、BIツールの導入を検討してください。
データ入力業務の自動化におすすめのツール
自動化を実現するために最も効率的な方法は、データ入力ができるツールを導入することです。
データ入力業務の自動化におすすめのツールを4種類ご紹介します。
①Excel マクロ |
②RPA |
③AI-OCR |
④Webスクレイピング |
①Excel マクロ
Excelの機能の一つである「マクロ」を使用すると、一連の決められた処理を自動的に行うことができます。
マクロ機能を使用するには、以前はプログラミング言語を扱うスキルが必要でしたが、近年は誰でもプログラムを作成できます。
データ入力や分類といった作業はもちろん、売り上げの分析や報告書の作成なども行えるので、様々な業務に役立つでしょう。
Excelのような表計算ソフトは、新たに導入せずとも、すでに業務で使用しているという企業が多いはずです。
費用や手間をかけずにデータ入力自動化に取り組めるというのも、マクロ機能を採用するメリットの一つだといえます。
データ入力の自動化だけでなく管理も行いたいという場合におすすめなのが、Excelシートを活用したデータ収集サービス「サクッと収集」です。
経理や勤怠、売上や在庫など、分散しているデータを即座に収集し、わかりやすい形にまとめることができます。
また、トライアル版を利用すれば、最大6ヶ月無料になります。
「Excelをもっと活用したい」、「マクロの使い方がわからない」という方は、ぜひ「サクッと収集」の導入をご検討ください!
②RPA
ルールや作業手順が決まっている定型業務を行う際に役立つツールが、「RPA(Robotic Process Automation)」です。
あらかじめ実行させたい作業内容を設定しておくことで、人に代わってロボットが業務を遂行してくれます。
WordやExcelへのデータ入力やメール送信といった基本的な作業はもちろん、他のシステムやアプリを自動的に操作して作業することもできるという点が特徴です。
近年はAIの機能学習が進化しているため、今後はRPAでより複雑な作業が行えるようになると期待されています。
人件費の削減や業務効率化など、実現したい目標を複数抱えている企業は、データ入力自動化にあたってRPAを導入しておくと良いでしょう。
③AI-OCR
文字やデータを読み取り、デジタルデータに変換するツールを「AI-OCR(光学的文字認識)」といいます。
AI-OCRではAI技術を利用して作業を行うため、従来では読み取りが難しいといわれていた手書き文字に対応できます。
また、読み取った情報を種類や項目ごとに分類できるという点も特徴です。
自動的に適切な場所へ格納してくれるので、データ入力自動化だけでなく、紙の書類をデータ化してウェブ上で整理・保管したいという場合にも役立つでしょう。
手書きの契約書や領収書、アンケート用紙など、形式の異なる様々な書類に対応できます。
④Webスクレイピング
Webサイトから特定の情報を自動的に収集するツールが、「Webスクレイピング」です。
インターネット上には国内外問わず様々な情報が溢れていますが、その中から必要な情報だけを自動的に収集してくれるという点が特徴です。
人の手で膨大な量の情報に目を通し、選出する必要がなくなるので、業務効率化に役立つでしょう。
Excelのマクロ機能同様、Webスクレイピングもまた、難しいプログラミングのスキルがなくとも誰でも簡単に操作・実行できます。
市場の動向調査や価格調査を行えばリアルタイムで情報収集が行えるので、特にマーケティング業務に役立ちます。
データ入力業務を自動化するポイント
普段行っている業務にデータ入力自動化のツールをスムーズに導入するためには、どのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。
データ入力業務の自動化を成功させるために、知っておきたいポイントをいくつかご紹介します。
■自動化の必要性を確認しておく
データ入力自動化を行う上で、まずは必要性や意義を確認しておくことが大切です。
自動化を行うために作業方法を変えたり、ツールを導入したりするとなると、費用や手間がかかります。
当たり前ですが、自動化するまでもない業務にコストをかけてしまうと、それ自体が無駄となってしまうでしょう。
自動化を行うと、どの程度業務効率が向上するのかを見据えて、本当に改善が必要か否かを見極めることが大切です。
■業務を可視化しておく
実際にツールを導入する前に、普段行っている業務内容を可視化しておきましょう。
業務内容を把握しておかなければ、自動化にあたってどのようなツールを導入すれば良いのかわかりません。
また、ツールを導入したものの、利用できないという事態に陥る可能性もあります。
実際には明らかになっていない属人的な作業もあるはずですので、正確な工数を把握するためにも、事前に業務内容を可視化しておくことが大切です。
業務内容や手順をマニュアル化して、誰にでもわかりやすくまとめておくと良いでしょう。
可視化することによって、データ入力自動化が必要であるか否かについても判断しやすくなります。
■従業員の理解を得ておく
データ入力自動化は個人や少人数でできるものではないため、現場全体の協力が必要です。
作業手順に変更を加えたり、ツールを導入したりするとなると、少なからず業務の取り組み方に変化が起こります。
業務内容を把握し、スムーズにツールを導入するためにも、事前に現場の理解を得ておきましょう。
データ入力自動化の方法やメリット、具体的に業務内容がどのように変わるのかを説明して、協力を求めることが大切です。
現場の担当者が抱える課題や不満を直接ヒアリングして、適切な方法で自動化を成功させましょう。
業務を効率化する方法についてさらに詳しく知りたいという方は、下記ページもご覧ください。
関連ページ:データ可視化とは?必要性やメリット、具体的な方法や流れをわかりやすく解説
データ入力業務を自動化する流れ
データ入力業務を自動化すると決めたら、流れを把握することが大切です。
実際に作業に取りかかる前に、担当者間で流れを共有しておきましょう。
①自動化する業務を洗い出す |
②使用するツールを選定する |
③トライアルを行う |
④導入して効果測定を行う |
①自動化する業務を洗い出す
実際に自動化を実現するにあたり、まずはデータ入力作業が多い業務を選定する必要があります。
データ入力を自動化するためには、業務内容を把握し、現場の理解を得ておくことが大切です。
ツールを導入する前に、現場の担当者に以下の内容をヒアリングしましょう。
・業務内容 |
・必要な工数 |
・作業を行う頻度 |
・担当者(人数) |
・課題 |
上記をヒアリングした上で、業務の流れや工程を書き出してみると良いでしょう。
どのような方法で自動化が実現できるのか、そもそも自動化で業務効率が向上するのか、判断材料として役立ちます。
②使用するツールを選定する
現状のままでは業務効率が悪いと判断された場合、データ入力自動化を行う必要があります。
業務を効率化するためにも、ツールを導入しましょう。
Excelのマクロ機能であればすぐにでも使用できますが、RPAやAI-OCR、Webスクレイピングの導入には、費用や時間を要します。
RPA一つでも各社で特徴が異なるので、自社に合ったツールを選定することが大切です。
操作性や費用対効果、セキュリティなどをチェックした上で、適切なツールを選択しましょう。
③トライアルを行う
自社に合ったツールがわからないという場合には、トライアルを行いましょう。
データ入力自動化のツールは、トライアル期間が設けられていることがほとんどです。
業務に役立ちそうなツールを見つけたら、まずはお試しで運用してみましょう。
実際に業務効率化に役立つか、担当者がストレスなく使いこなせるか、トライアル期間中にチェックを行います。
問題なく使用できた、業務に役立つと実感できたという場合には、本格的に導入を行うと良いでしょう。
④導入して効果測定を行う
本格的にツールを導入した後には、効果測定を行う必要があります。
トライアルでツールの使用感は確認できたものの、ある程度の期間運用してみなければわからないこともあります。
現場の理解や協力を得るためにも、自動化によって業務がどのように改善されたのか、効果を数値化して共有しましょう。
効果測定は一度行って終わりではなく、定期的に行うことが大切です。
操作方法がわからなくて扱いが難しい、ツールを使用すると余計に時間がかかるなど、問題が発生していれば改善策を検討してください。
『社内データ活用サービス』でデータ入力業務を自動化!
データ入力業務を自動化すると、業務効率の向上やヒューマンエラーの防止、人件費削減などのメリットを得ることができます。
企業が抱える課題の解決や業務効率化を実現するためにも、データ入力の自動化を目指しましょう。
データ入力業務の自動化のためにツールやサービスの導入を検討しているという方は、『社内データ活用サービス』をお試しください。
社内データ活用サービスなら導入の際にもサポートが受けられるので、データ入力業務を自動化する方法がわからない、何から手をつければ良いのかわからないという企業様にもおすすめです。
まずは導入方法を知りたい、業務にどのように役立つのか詳細を知りたいなど、お気軽にご相談ください。